亡骸の遺言
月の化け物――その名が刻まれた本は、開いた瞬間から空気を変えた。
ページの一部は黒く、湿った染みに侵され、文章はほとんど破れて読めない。
灰色がかった◯◯ぎった肌は、
まるで◯◯キガエ◯◯ようで、
その皮◯◯◯在に形を変える。
鼻にあたるであろう部分には、
ピン◯◯◯◯手が生えている。
性格は残虐な快楽◯◯◯◯。
牲者を惨殺するという。
『……読めませんね』
『作られて随分時間が経っているようですね』
『こういう風化した資料、私の書斎にもありますわ』
(誰もこの本から“異様さ”を感じないのか……?)
スバルだけが、ほんのりと寒気を感じていた。
あまりに不気味な気配に、一行は本を閉じ、元の棚へ戻した。
『私は鍵を見つけました』
天音が取り出したのは、隣室の扉の鍵。
ムジナがいた部屋の向かいにある扉を開けると――腐臭が鼻腔を突き刺した。
明かりを灯すと、室内は荒れ果てていた。
机や椅子は粉砕され、壁や天井に血のような赤い液体。
暴れたというより“暴力に飲み込まれた部屋”。
スバルと天音は思わず吐き気に襲われる。
『お二人はここで待っていてください』
「…いえ、行きます」
『では、私が天音さんを見ていましょう』
スバルと守が部屋を調査。
唯一、形を残した亡骸が横たわっていた。
その手には錆びたバールと、血に濡れた紙切れ。
『……これは、“馬人”…“カエル”…“犠牲”…? 日記のような……』
「この部屋で、何かが起きた。“月”と関係あるなら、俺たちも……辿る可能性がある」
『無理をしない方が――』
「慣れてます。それに――このバール、
ただの道具じゃない。“エクスカリバール”と書かれてました」
物理特化型のスバルには、むしろ安心感を与える響きだった。
さらに、セキュリティルームと記された鍵を発見。
スバル一行は次なる部屋へ向かう。
鍵の先にあるのは、“管理”か“封印”か。
彼らが知る世界の理は、もう通用しないかもしれない。
そろそろ、新世界編を終わらせたい
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最新 2025/07/19




