生活必需品が危険物?
カエルとの戦闘を終え、
スキルの確認をしていた守春だったが、
ふと違和感を覚えた。――カエルの死骸がない。
代わりに、肉と瓶詰めの液体が落ちていた。
(ん? まださばいてないぞ? なんで肉が落ちてるんだ?)
拾い上げてみると、確かに肉だった。
(インベントリに入れれば名前が分かるか…)
試しにアイテムを収納すると、表示されたのは
「アシッドフロッグの足」と「アシッドフロッグの毒」 だった。
(よかった… やっぱり毒持ちか。触らなくて正解だったな)
戦闘を終えたばかりで腹が減り、インベントリの 消耗品 を確認する。
インベントリ(消耗品)
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アイテム名 数量 説明
レッドマッシュ 7 食べると腹を壊す
ブルーマッシュ 4 食べると体内の毒を排出する
ブラッドマッシュ 1 フルポーションの調合に使われる
悲鳴草 12 解毒剤の材料、すごく苦い
おいし草 6 生で食べられる、すごくおいしい
アシッドフロッグの足 1 食料になるが、解毒しないと腹を壊す
アシッドフロッグの毒 1 体内に摂取すると毒状態になる
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(やばぁ… まともな食い物がない)
インベントリの説明を信じ、守春はレッドマッシュを口にした。
「ぐぁッ! こんなに早いのかぁ!」
飲み込んだ瞬間、激しい腹痛が襲いかかる。
ステータスにも 状態異常『腹痛』 が追加された。
(まずい…!)
守春はすぐさま ブルーマッシュ を口にした。
すると、今までの痛みが嘘のように収まっていく。
(助かった… ひとまずこの2つを食料にするしかないな。でも、やっぱり水が欲しい)
辺りは徐々に暗くなり、夜の気配が漂い始める。
(結構、水がないとキツいな…)
守春はインベントリから アシッドフロッグの毒 を取り出した。
(これに「クリーン」をかけてあわよくば解毒されないかな?)
「クリーン!」
まさか 毒を飲もうとする人間 なんて、守春くらいだろう。
守春は気合で胃へ流し込んだ――
(…よかった、”クリーン”すれば毒は――
なくなってない!? なんだよ、タイムラグがあるのかよッ!)
毒は 毎秒10ずつHPを減少 させるため、
もしレベルが上がっていなければ確実に死んでいた。
効果時間は15秒。あと2秒長ければ、お陀仏だった。
(あぶねぇ… もしもの時はブルーマッシュで解毒しようと思ってたが、20のHPが残ってくれたおかげで、食料も命もギリギリ生き残った)
少し体を休めると、すぐにHPは全快した。
だが、命をつなぐために命を懸ける――そんな状況だった。
その後、守春はアシッドフロッグを狩りながら、キノコや草を採集していった。
やがて夜が明ける――
「ふぁぁぁあ… 寝たほうがよかったかな?」
気づけば、制服はぼろぼろになり、ところどころ肌が露出している。
採集中、何度もカエルとの戦闘があったため、守春のレベルは 3 になっていた。
「ステータス」
_________________
大久保 守春
年齢:18 性別:男
LV:3
HP 240 (+80)
MP 15 (+5)
攻撃力 130 (+40)
防御力 330 (+55)
素早さ 45 (+15)
賢さ 15 (+5)
職業:脳筋
スキル:
クリーン
絶対防御
成長数値倍化
気力回復
狂戦士化
痛覚軽減
投擲
毒耐性(NEW)
称号:
異世界人
学生
_________________
(こう見るとHPが高ぇ… 他の職業はもっと多いのかな?)
しかし、この考えは間違っていた。
ダイラヤードにおいて、
脳筋は圧倒的な不利を背負った職業だった。
剣を持つことさえ許されず、魔法の威力は雀の涙ほどしかない。
戦う術は己の肉体のみ――その生存難易度は、すべての職業の中で最も過酷だった。
他の職業ならば、すべてのステータスのバランスが取れている。
しかし、特定のステータスに偏った構成では、
特定の敵に対して 全くダメージが通らず、敗北する ことになる。
そんなことも知らない守春は、
今日もレッドマッシュとブルーマッシュを食べ、
アシッドフロッグの毒を飲み続ける。
すると、目の前に 青いパネル が出現した。
スキルレベルUP!
毒耐性 → 毒無効に進化!
(そういえば、今飲んだ毒が 101本目 だったっけ?)
守春は 「死なないから」という理由で、アシッドフロッグの毒を飲み水として扱っていた ため、スキルが進化していた。要するに――本当にただの飲み水になった。
そんなこんなで、守春は 偽太陽が沈む方向 へ進み続けるのであった。
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最新 2025/06/06