運営陣の悪戯
一層でのやり残しを整理し終えたスバルの元へ、
運営からの通知が届いた。
──期間限定ダンジョンを設置しました。
挑戦をお待ちしております。──
(告知してくるってことは、何かあるってことだろ)
素材の希少性か、報酬の特別さ。
単なるダンジョン追加なら、わざわざメッセージは送らない。
(よし、行ってみるか)
マップには“ここです”と言わんばかりの印が浮かんでいる。
スバルが現地に到着したころには、すでに大量のプレイヤーが集まっていた。
(……うげ、人多すぎ)
人混みは性に合わない。引きこもり気質の彼にとって、この雰囲気は苦手だった。
普段は田舎の安全地帯で暮らし、首都近辺は避けていた。
(早く抜けよう)
「狂戦士」
声と共に空気が変わる。
周囲のプレイヤーが一斉に振り向き、そして道を開けた。
(……なんか、すまん)
スキルを即座に解除しながら、スバルはそそくさとダンジョンの入り口へ向かう。
内心、やりすぎたかと少し反省していた。
すでに何人かが中に入っているようだったが、気配は感じられない。
奥へ踏み込むと、さっそくモンスターが現れる。
「よし、狂戦士――」
発動したはずのスキルは、何も起こさなかった。
ただ、彼の声が空しく響くだけ。
(……あれ?発動しない?)
混乱する間もなく、モンスターが突進してくる。
「くそ、スキルが使えないのか!」
それが、このダンジョンの最大の特徴だった。
スキル・魔法、すべて封印。戦えるのは、素のステータスのみ。
だが、スバルにとってこれは致命的ではない。
元々スキルは“効率化”のために使っていただけで、素のステータス自体は高水準。
(面倒だが、物理で叩くしかないか)
そうつぶやきながら、迫ってくるモンスターたちに拳を繰り出す。
一発、また一発――捌くたびに、地面が鳴る。
(くっ、スキルが使えないと、時間かかりすぎる)
罠、強敵、数の暴力。すべてを、手数と正面突破で押し切るしかない。
それでもスバルは前を向く。
彼はただ、淡々と拳を握り直すだけだった。
運営=神様なのか
いつものやつ頼みます
最新 2025/07/13




