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異世界転移?ふざけるな!  作者: 力なき脳筋
異世界転移?ふざけるな!
30/222

理沙視点④PVPイベント

森の中に転移した瞬間、理沙は息を吐いた。


(よっしゃー、やってくぞー!)


周囲を見渡すと、草をかき分けて現れたのは、

大きな盾を構えた男と、彼を支える三人のプレイヤーたちだった。


「嬢ちゃん、悪いが倒させてもらうぜ」


「……僕、男なんだけど?」


「そいつはすまねぇな。でも、やることは変わらねぇ。いくぞ、お前ら!」


号令と共に始まった奇襲戦――理沙は即座に加速を発動し、一気に前線へ躍り出た。


「加速! ポイズンアタック! トリプルスラッシュ!」


一気に畳みかけるように盾持ちに連撃を叩き込む。しかし。


「ビッグシールド! 鋼鉄化!」


硬い――ならば、と理沙は標的を変える。防御の甘そうな槍兵と斧使いに斬り込んだ。


「乱れ切り!」


「パワーアックス!」


「乱れ突き!」


反撃は激しい。二対一では分が悪い。理沙は即座に離脱を選んだ。


「テレポート!」


瞬時に間合いを取り、呼びかける。


「コンちゃん、来て!」


現れたのは一見ただの狐。だが、理沙の相棒を侮った相手の表情がわずかに緩む。


「そいつ、ただのペットか?」


「教えないよー」


「……仁王立ち!」


盾使いが発動したのは味方全体を包み込む結界だった。


(あれ、範囲防御か……それともダメージ肩代わり?)


「パワーアタック! ファイアボール!」


攻撃は別の敵に命中したにもかかわらず、ダメージは盾使いが受けていた。


「へぇ、良いスキル持ってるね」


「だろ? 俺の十八番だ」


だが、戦況は膠着する。与えても回復され、敵の攻撃も決め手に欠ける

それでも、勝機は訪れた


「コンちゃん、分身!」


狐の鳴き声とともに、彼の分身が五体出現した。


「全員、体当たり!」


一斉に突撃する小さな影――その威力は凄まじく、

盾持ちを一瞬で沈め、残る敵たちも立て続けに光となって消えた。


「ふぅ……けっこう時間かかったなぁ」


息を整えながらミニマップを確認すると、

赤い点が続々と現れていた。その周囲には多数のプレイヤーが集まり、

混戦が始まっているようだった。


(上位プレイヤーを囲んでるのか……じゃあ、僕は周辺から削っていこう)


理沙は、ひたすらに影のように動き、暗殺者のように敵を削り続けた。

そして、チャイムと共にアナウンスが流れる。


〈プレイヤーの皆さん、お疲れさまでした!〉


〈PVPイベントの結果は、こちらです〉


理沙の目の前にパネルが浮かび上がる。

ーーーーーーーーーー

一位:グラコス

二位:ミラ

三位:守春

四位:マリア

五位:理沙

ーーーーーーーーーー


「やったー!五位入ったーっ……って、あれ」


三位の欄に記された懐かしい名に、胸が跳ねた。


(守春……!いたんだ。でも――負けたか)


喜びと同時に、悔しさが沸き上がる。


(次は絶対勝つ!)


そのとき、空から一羽のカラスが小さな箱をくわえて飛んできた。


箱の札には「五位おめでとうございます。これをお納めください」と書かれている。

箱の中には武器・防具の交換証と改名券。


理沙はそれを使い、アイルドという双剣と引き換えた。

そして、ゲーム内での新しい名前を「ケイ」に変更した。


双剣は、片方が鉄製、もう片方が金で装飾された精緻な造りだった。


【シデーロス】

攻撃力:50

装備効果:麻痺属性

【クリューソス】

攻撃力:40

装備効果:毒属性


「両方状態異常持ちって、めっちゃ便利じゃん」


コンちゃんの頭をなでながら、彼は嬉しそうに笑った。


(結局、守春には会えなかったけど……そのうち、どこかで)


ケイの初めてのPVPイベントは、こうして静かに幕を閉じた。

だが、次に彼が切り開く戦いの舞台は、もう間もなく始まろうとしていた。


次回から、また司視点に戻ります

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