転移先は森でした
「ほう、ここがダイラヤードとやらの世界か」
クラスメイトに聞こえるように口にしたつもりだったが、誰も反応しない。
辺りを見回すが、知っている顔は一つもなかった。
(なぜ、他のやつらがいない?死神は
『整備された場所に転移させる』とか言っていたが、
どう見ても整備されているとは言い難いな)
可能性を探り、いくつかの仮説を考えた。
(そういえば、死神は“クラスごと刈り取る”なんてことをほざいていたな。
つまるところドジな奴なんだろうな… なら、俺以外にも
整備されていない場所に飛ばされた奴がいるんだろうか)
そんなことを考えながら歩いていると、気づけば周囲の景色に既視感を覚えた。
(……あ、これ迷ったな
しまった。今のところ使えるスキルは「クリーン」くらいしかない。
索敵系のスキルを取っておけばよかった。)
実際守春はクラスメイトの間で「脳筋」と呼ばれていた。
周りがそう呼ぶのには理由があるのだろう。
(さて、人影もなく、道もわからない… ここでしばらく暮らすしかないか)
守春は大森林の奥へと進み始めた。
道中にはキノコや草、幼虫など、サバイバル的な食料が散乱していた。
(クリーンのスキルがあるし、毒の心配はないが… 見た目がキツいな)
キノコや草ならまだいい。
しかし、タンパク源となる虫はどうにも食べる気になれなかった。
(まぁ、水源を見つけないとこの先まずいし、とりあえず植物だけ持っていくか)
死神は、あの場にいた全員にゲームでいう「インベントリ」の機能を与えていた。
これがなければ、守春は食料を集めることすらできず、あっという間に死んでいたかもしれない。
インベントリには、アイテムを種類別に最大30個保管できる。
消耗品、防具、武器、アクセサリー、その他のカテゴリに分かれ、合計150個まで保存可能だ。
ちなみに今の食料――つまり「消耗品」は、以下のようなものだった。
- レッドマッシュ(赤いキノコ):5個
- ブルーマッシュ(青いキノコ):3個
- ブラッドマッシュ(黒っぽいキノコ):1個
- 悲鳴草(怪しげな草):7個
- おいし草(食べられそうな草):2個
(ストックできるのか、それなら問題ないか… しかし、このキノコや草の名前、どこかで見たことがある気がするんだよな)
考えながら、「記憶ネット」を検索しつつ、太陽――いや、太陽らしき星が沈む方向へと歩みを進めていった。
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最新 2025/5/23