一方そのころ、二階層
守春がシルフとの戦闘に熱中していたそのころ、
理沙はクラスメイトたちとともに、噴水のある広場に集まっていた。
(……ここ、AWOの第二層にそっくり)
戸惑いながらも周囲を見渡す理沙に、木田が声を荒げる。
「おい!ここどこだよ!」
(こういう状況だと木田くん、意外と慌てるんだ)
混乱しているのは彼だけではなく、他の生徒たちもまた、
現状を理解しきれていないようだった。
「みんな、ここはAWOの第二層……たぶん、そうだよ」
「でもシャインは“異世界に送る”って……言ってなかったか?」
「確かに、何か変な光が――」
「何言ってるの? ここは現実でしょ」
騒然とした空気のなかで30分ほど議論が続いた末、
全員が「ここがゲームの中である」と受け入れるまでに至った。
「よし、それじゃあ……。組みたい人とパーティ組んで、死なないようにゲームを楽しもー!」
『『『『おーーーーー!!!』』』』
その声に応じるように、生徒たちは次々と仲間を募り始める。
理沙には、男子の八割・女子の二割からパーティ参加の声がかかった。
しかし――
「ごめんね。先約がいるの」
彼女は、すべての申し出を笑顔で断った。
理沙が女子であると信じて疑わない男子たちは、やや特別なテンションで誘っていたようだった。
皆がそれぞれにパーティを組んでいくなか、理沙はふと何かに気づく。
「……ねえねえ、守春知らない?」
「ごめん、わからない」
あちこちのグループに声をかけ、情報を集めても、やはり守春の姿は見つからなかった。
(守春だいじょうぶかな?脳筋だし、このゲームも一年くらいやってなかったし……)
理沙自身は長くAWOをプレイしていたため、ある程度の攻略知識を持っていた。
だが、今ここにいるのは、ログイン画面でもない、ログアウトボタンもない――
明確に“ゲームとは違う何か”だった。
「……まあ、しょうがないか。じゃあ、死なないように、みんなでがんばろー!」
そうして、生徒たちはそれぞれ別々の道を歩み始める。
ダイラヤードの世界での、彼らの生存と冒険の物語が、いま静かに幕を開けた。
司が早く、二層に行ってくれないかなぁ
この作品を応援してくださる方は
高評価、ブックマーク、コメントの方お願いします
最新 2025/06/30




