PVPイベント
イベント当日。守春は街のショップで
ポーションを抱えるほど買い込んでいた。
必要な準備はすべて整えた
(さて、そろそろ時間か)
そして、イベント開始時刻。
彼の身体は淡い光に包まれ、空間ごと転送されていく――
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転移先:イベントフィールド《王城内部》
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視界が開ける。場所は王城と思われる広間。
赤い絨毯が天井まで続き、金属の柱が荘厳に並ぶ。
「狂戦士」
何の迷いもなくスキルを発動。準備完了。
そこに現れた5人のプレイヤー。
『セオリー通りいくぞ!』
『了解!』『援護する!』
『……』『……ッ』
突撃してくる3人に、守春は言葉ひとつ。
「スラッシュ」
斬撃が空気を裂き、5人全員が即座に光となって消えた。
「まず五人」
その後も、敵は現れては消えた。矢も剣も魔法も、一歩たりとも彼には届かない。
その姿はまるで暴虐の限りを尽くす魔王そのものだった
イベント半分経過のアナウンス。
〈現在、上位5人の位置がマップに表示されています〉
その瞬間、守春の位置が地図に赤く点灯。プレイヤーが一斉に動き始める
『某は正吾と申す!勝負だッ!』
侍風プレイヤーの咆哮とともに、斬撃・魔法・矢・投石が同時に飛ぶ――
「メテオストライク」
空が裂け、巨大なエネルギー弾が降り注いだ。
地鳴りと爆風の中、十数人が光に変わって消える。
いつの間にか、守春はランキング3位になっていた
守春は場所を移動すべく城を探索していた
階段をのぼった先には玉座が光る広い空間があった
「ハルコン、召喚」
現れたのは、かつての倍以上に育った2メートル級の巨体。
鉄の巨獣――ハルコン。
「……でかくなったな」
扉が開く。数人のプレイヤーがなだれ込んでくる。
「タックル!」
ハルコンが突進。逃げ惑う者も、受け止めた者も、光と変わっていく。
「俺、ほぼ座ってただけなんだけどな……」
それでも最上階はまるで魔王戦。
チャット欄は「バグだ」「運営が敵側についた」と混乱していた。
そして、残り時間が10分を切ったころ、
ハルコンのHPが0になり、光となって指輪に戻る。
「――じゃあ、ここから俺の番か…狂戦士」
守春は玉座から立ち上がり、
迫りくるプレーヤーを前に堂々としていた
「ハルコンの仇を撮らせてもらう」
怒りと共に振り下ろした掌が、大地ごとイベントフィールドを抉る。
プレイヤーは誰一人残らず、逃げる隙もなく消えていった。
「……魔王からは逃げられない」
守春が調子に乗っていた時、アナウンスが流れる
〈第一回PVPイベント、終了!
上位5名はこちら!〉
- 1位:グラコス
- 2位:ミラ
- 3位:守春
- 4位:マリア
- 5位:理沙
その瞬間。黒いカラスが箱を運び、彼の前に降り立つ。
箱には三位のお祝いと書かれている
開けてみると二枚の紙が入っていた
- 武器・防具の証
- 改名券
守春は、証を使って未装備カテゴリだった「小手」を選ぶ。
光が収束し、現れたのは銀色に透き通る本体に
ジュエリーでキラキラしているミスリルの小手だった。
改名券は名前の表記を守春からスバルへ変更するのに使用した
(……イヅキのとこ、行ってみるか)
こうしてスバルは初のイベントが終わったのであった
そのうちクラスメイトも参加させたい
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最新 2025/07/13




