新たなる王
闘技場は、炎と魔力の残滓で満ちていた。
魔剣《アグ=ネレシュ》の猛威は、地形を歪め、空気を焦がす。
トドロキの拳は、すでに焦げ付き、皮膚の一部が爛れている。
ヴァルゴは、最後の詠唱を終えていた。
『王家の剣技・終式――《燈刃・天墜》』
空が裂け、白銀の剣が天から降り注ぐ。
それは、王家の象徴にして、騎士の最終手段。
一撃で、戦場を終わらせる力。
「……来るか」
トドロキは、拳を握る。
だが、拳は震えていた。
(修羅連打なんかじゃ対応できないだろうな)
《警告、推定ダメージ量が
LPを超えています》
(……なるほどな、結構なピンチってなわけだ
…だが俺にできることなんて頑張ることくらいだしな)
トドロキは自身の急所に当たりそうな光の剣を
中心に破壊する
『そのような傷でまだ動けるというのですか
コクローチ並みのしぶとさですね
終式を受けてなお立っていられるとは』
「一応、誉め言葉として受け取っておく」
(コクローチ呼ばわりしたのは絶対に許さない)
『しかし、そんな状態では次は防げまい
王家の剣技・一式《燈刃・開礼》』
ヴァルゴは剣を逆手に構え、
地面に一度突き立てる。
一閃。
剣の軌跡が王家の紋章を描き
大地を巻き込んでトドロキへと向かう
「王様への忠義ってなわけだ
だが、残念、少しおそかったな、憑依拳!」
スキルと技がぶつかり合い
舞台に砂煙が舞う
『どうなったんだ?』
『さぁ…砂煙で何にも見えないもの…』
『おい!晴れてきたぞ!』
砂煙が晴れた時、
ヴァルゴは膝をついていた。
剣は砕け、礼装は裂け、ただ静かに俯いていた。
トドロキは、拳を下ろしていた。
その拳は、血に濡れ、皮膚は爛れ、骨が見えていた。
だが、彼は立っていた。
『勝者――エアスト=トドロキ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼』
歓声が爆発する。
王女システィは立ち上がり、静かに一礼する。
「拳の王、エアスト=トドロキよ。
あなたは、我が剣を超え、私の前に立っている
……その姿こそ、私の“王”です」
トドロキは、息を吐きながら呟く。
「王だの…未来だの……騒がしい……
今は…少し…休ませて…く…れ」
トドロキはその場に倒れた
既に振るうことのできない拳を握って
だが、確かに――剣を砕いた拳だった。
そういえば、テスト赤点かなって思ってたんだけど
全然無事でした
と、報告して私はマイクラ世界に行きます
サラダバー




