闘技大会Ⅲ
『さぁ、続いてのカードは――!
第一回戦で圧倒的な勝利を収めた運男…
いや、圧倒的な破壊力を与えられた男!拳の王、1科生トドロキ!
対するは、3科生《黒の演者》カリス=ヴェルド!
精神干渉魔法の使い手、との対決だぁ!』
戦場に立つカリスは、黒いマントを翻しながら、静かに微笑んだ。
『君の戦いの方程式をいただくとしよう』
「やれるものならやってみるがいい
俺の技術を盗めるものならな」
『そうか、なら試してあげよう、
君の技の使い方を忘れてしまう恐ろしさを』
試合開始の鐘が鳴る。
その瞬間、カリスの魔力が広がる。
空間が歪み、トドロキの視界が揺らぐ。
手品師の魔境
――対象のスキルを封じる演技魔法が発動した。
(……なるほど。スキルの発動感覚が鈍る。だが…)
「残念ながら奪えなかったみたいだなぁ!」
『なんだと』
確かに手品師の魔境は発動し、
トドロキは一部のスキルが使用不可になっている
だがトドロキが生涯使用していた技は…技術は
その身に宿っているのである
「スキル封印ってのかこんなもんか!」
トドロキが踏み込む。
カリスは幻影を展開し、トドロキの周囲に“偽の敵”を出現させる。
『確かに君の技の精度は落ちていないようですね
だが、当たらなければ意味はないだろう!空想の人形劇』
「幻影か……とりあえず、片っ端からつぶしてやるわ!」
拳が幻影を貫き、カリスの肩をかすめる。
『やれやれ、これだから野蛮人は苦手なのです』
カリスは距離を取る。
『奥の手を使うしかなさそうですね
傀儡の狂騒曲』
神経に直接作用するこの技は
対象の四肢の動きを封じ、行動不能にするスキル
「物質体に対する干渉を確認
反発に成功」
「何かしようとしたようだが
俺には聞かなさそうだな」
『なん…だと…』
トドロキの拳が赤く染まり、空気を震わせる。
憤怒の猛りの隠された効果が発動したのである。
「猛り立つ心"闘気・韓紅"」
トドロキの心情に合わせて能力が変わる"猛り立つ心"
闘気・韓紅は気合が入った時、興奮しているときに発動する
攻撃力、素早さに1.1倍の補正がかかる
トドロキは高く飛び上がり
地面に向けて拳の雨を降らせた
複数体いる幻影を貫き、
まぎれていた本物を正確にあぶりだした。
『なんて、でたらめな攻撃…っ!
美しさのかけらもないっ!!』
「漢の勝負に美しさなんていらねぇんだよ!」
トドロキのラッシュを受けきれなかった
カリスは膝をつき、静かに呟いた。
『……魂に刻まれている戦う魂
しかと…みと…どけた……』
トドロキは拳を下ろし、静かに背を向ける。
試合終了の鐘が鳴る。
……カォォォン……
『勝者――トドロキ=エアスト‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼』
観客席が爆発するような歓声に包まれる。
観客の中で、王女システィは静かに微笑んだ。
『さすがですわね、トドロキ殿』
しばらく前の文調を思い出したいところだわ
前のようには進まないね
ということでまた次回
サラダバー
編集① 2025/09/05
最新 2025/09/07




