静寂の裏に蠢くもの
勝利の余韻が、まだ観客席に残っていた。
エアスト=トドロキ。
その名が、確かに刻まれた瞬間だった。
控室に戻ったトドロキは、静かに水を口に含み、
分身体からギルド戦の報告を受けていた。
『ギルド戦、第一陣突破。分身体の方も問題なし』
「そうか。なら、次はこっちの第二回戦だな」
トーナメント表に目をやる。
次の対戦相手は、3科生《黒の演者》カリス=ヴェルド。
(……聞いたことあるな。確か、演技魔法の使い手だったか)
演技魔法――幻覚・支配・精神干渉を行う特殊系統。
物理的な攻撃力は低いが、精神を揺さぶる力は凄まじい。
(面倒な相手だな。俺の精神耐性がどこまで通じるか)
その時、控室の扉がノックされた。
『トドロキ様、王女より伝令です』
「……王女?」
扉の向こうには、システィ王女の近衛兵が立っていた。
手には小さな封筒。中には、王女直筆の一文が記されていた。
『初戦お見事でした。ささやかではありますが
次戦を勝ち上がるためのヒントを差し上げます
彼の者の黒の演者という二つ名はすべてを
吸い込み無と帰す、闇からきているということを
ご武運をお祈り申し上げます』
(……闇?)
トドロキは眉をひそめた。
「アイ、カリス=ヴェルドの解析を頼む」
『了解。演算解析開始……完了。
カリス=ヴェルドは、演技魔法、手品師の魔境を使用可能。
対象のスキルを一時的に封じ、発動を妨害する可能性があります』
(スキル封じか……それで俺の拳を止められると思ってるなら、甘いな)
トドロキは拳を握り、装備を再確認する。
《拳の舞》《剣化》《修羅連打》――
(スキルが封じられても効率が下がるだけか
軌道に関してはなんとなくマネできる…よし)
「スキル封印の相手には、物理で殴るのが鉄則か」
トドロキは控室から闘技場へ歩みを進める
背後から、メイプルが声をかける。
『気をつけて。あいつ、前回の大会で相手を泣かせて棄権させた』
「メイプルか…俺はそんなに軟じゃないさ
ま、忠告感謝するぜ」
トドロキは、第二回戦の舞台へと歩み出す。
そして、観客席の最上段。
システィ王女は、静かに呟いた。
『どのように乗り越えてくださるのか
見せていただきますね』
いやはや、久しぶりの続きですな
今までおまたせいたしてすみません
1話からところどころ編集してきたので
興味があったら読んでみてください
ということでまた次回
サラダバー
最新 2025/09/07




