闘技大会Ⅱ
『さぁ始まりました!闘技大会第一回戦!
最初のカードはこちら!王女の期待を背負いし男、
1科生トドロキ!
対するは、氷炎《アイス&ファイア》の異名を持つ
2科生グレイム!
近距離アタッカーVS遠距離魔術師――1科生に不利な対面か⁉』
観客席の熱気とは裏腹に、戦場は張り詰めた冷気に満ちていた。
グレイムの足元から湧き上がる魔力は、
氷と炎を同時に纏い、空気を震わせる。
「よく来たな、“運男”」
「ラッキーボーイだぁ?変な名前つけやがって。
挑発なんかいいからかかってこいや」
試合開始の鐘が鳴った瞬間、氷柱が地面から突き上がり、
炎の槍が空を裂いてトドロキに向かう。
(2方向同時攻撃か。だが、遅い)
トドロキは半身をずらし、炎をかわし、氷柱を踏み砕く。
拳の舞が発動。攻撃を重ねるごとに攻撃力と防御力が上昇していく。
『魔術師泣かせだな』
グレイムは苦笑しながら、次の詠唱に入る。
地面は凍り、空は熱を帯びる。冷気と炎が舞い、視界が歪み始める。
観客がざわつく。
『これ、ワンちゃん戦場が壊れるんじゃないか…⁉』
だが、トドロキは止まらない。
拳に「剣化の秘術」を施し、第一関節に鋭い刃を出現させた
「遠距離じゃ面倒だ。《超跳躍》」
跳躍と同時にグレイムの懐へ。
氷壁が砕け、炎の防壁が拳でねじ伏せられる。
「詠唱でもするのか?俺は“お約束”は大事にするからな。
ちょっとくらい待ってやる」
『なめやがって…後悔させてやる』
グレイムは後退し、神経を集中させる。
『時は凍り、命は燃え尽きる
凍てつく憎悪が希望を砕き
燃え上がる喪失が未来を焼き滅ぼす
――氷焔よ、舞え。世界よ、沈黙を知れ
我が右手は断罪の氷。我が左手は制裁の炎
我は支配する者。我が一閃にて全ての刻を断ち
汝、抗う意志ごと砕けるがよい!
《氷炎の時代》!!!』
氷結と炎爆が重なった合成魔法。
通常なら即死級の出力――だが。
「ダメージはまぁまぁでかいな。
俺を焼くにはぬるすぎるがな」
トドロキは気候ダメージ無効スキルにより、
ダメージはほとんど0であった。
『なん…だと…』
爆風の中心で、拳を握りながら歩くトドロキ。
グレイムの魔術を真正面から受けて立ち、なお歩みを止めない。
「いい魔法だな。俺じゃなきゃ医務室送りだろう。
ただ、相手が悪かったな。《メテオストライク》」
闘技場のはるか上空から、隕石がグレイムめがけて降り注ぐ。
必死の抵抗も虚しく、隕石は激しく着弾。砂煙が舞い、視界が白く染まる。
『おぉ~っとぉ!激しい攻防が繰り広げられた!フィールドが何も見えないぞ!』
『『『『高等集団暴風魔法!《エアロブラスト》!』』』』
職員による魔法で砂煙が排除される。
煙が晴れた時、グレイムは膝をついていた。
『…僕の魔法が、あそこまで…通じないとは…』
トドロキは拳を点に突き上げる。
――その瞬間。
静寂を引き裂くように、試合終了のゴングが鳴り響いた。
……カォォォン……
鉄と鉄がぶつかるような、魂の奥まで響く一打。
実況の声が会場全体に響き渡る。
『勝者――トドロキ‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼‼』
『『『『うぉぉぉぉぉぉ!!』』』』
観客のボルテージが絶頂を迎える。
ステージを降りるトドロキの背に、声が飛ぶ。
『かっこよすぎだろ…』
『…やばい、惚れそう』
『こいつ、マジで人類じゃない』
そして、ティナノは一言だけ呟いた。
『さすがだな、トドロキ』
いやはや、前回から3か月以上たってしまった
1話から編集しまくっているから連載もっと時間かかるかもね
ということでまた次回
サラダバー
最新 2025/09/04




