闘技大会Ⅰ
闘技大会。
年に一度の祭典が、ついに始まろうとしていた。
『やってまいりました!毎年恒例、闘技大会!
今回はなんと、システィ王女の伝家のお墨付きの、“生徒”がいる模様です!
それでは!トーナメント票を確認だぁ!』
会場の熱気が、控室まで届いてくる。
トドロキは静かに立ち上がり、拳を握った。
(ステータス、スキル、装備……全部確認済み。
分身体もギルド戦に送った。あとは俺がやるだけだ)
『お~い!トドロキく~ん!』
(この声は……サマナだな。あそこか)
『怖気づかずやってきたか、エアスト』
『あっ……』
(ん?こいつは誰だ?)
トドロキの前に現れたのは、
明らかに上級貴族の装いをした男と、その取り巻きたちだった。
『貴様!序列第3位のヴァルゴ様の前だぞ!頭が高いわ!』
『なめた態度をとるのもいい加減にしろ!』
(なんかワニにでも乗ってそうな名前だな)
『君たち、よさないか。エアスト君も怯えているよ』
(……なんだこいつ、むかつくやつだな)
『やぁ、実際に話すのは初めてだね。それと、
僕の周りの人間がごめんね。気を悪くしたのなら謝るよ』
『そんな!ヴァルゴ様が謝る必要なんてありませんよ!』
(なんだ?周りの知らねぇ女どもが冷ややかな目でこっち見てくるんだが)
『トドロキ、あの男、ファンクラブがあるくらい女子に人気』
(メイプルか。補足助かるぜ)
「いや、いいさ。別にこんな戯言、気にするほどでもない」
『なんだとてめぇ!』
『よさないか、ベリアル君……僕はここを離れるとしよう。
エアスト君、大会で当たるときはお手柔らかに頼むよ。……ところで』
ヴァルゴはメイプルやサマナの方へ歩み、耳元で何かをささやいた。
『ぼ、僕は遠慮しておくねぇ……』
『トドロキの方がいい』
『そうかい。気が変わったらおいで』
ヴァルゴはそう言うと、トドロキにウィンクして去っていった。
(うっわ、気色悪)
『あの人、すごい自信があるみたいだよ』
『うん』
「サマナがたじろぐことあるんだな」
『僕、初めてあんなこと言われたよ……』
サマナは耳を赤くしながら、俯いた。
(さて、乱優者がいたが本題に戻ろう。
俺の初戦は2年のようだな。気合入れていくか)
「分身体……よし、そっち頼むぜ」
『もちろんだ。キャラクターチェンジⅠ』
(これでギルド戦の方も何とかなる。よし、行こう)
「じゃ、俺初戦だから行ってくるぜ」
『いってらっしゃ~い!』
『ガンバレ!』
『あぁ、勝って来いよ』
(そういえばティナノだけは声かけられ——)
『貴様、無駄な思考なぞ捨てるんだな』
「わかったから、ここで刃を向けるな」
女の感が鋭いことに気づいたトドロキは、
静かに笑って、闘技場へと歩みを進めた。
連続投稿久々だぜ
今日はもう眠いのでねます
サラダバー
最新 2025/09/04




