厄日 拳の行末
カフェタイムを終え、ルシフスの寮に戻ってきたトドロキ。
頭の中には、さっき出会った貴族令嬢のことが残っていた。
(あの貴族様、無事帰れたのかな……
これでしがらみにでも巻き込まれたら面倒だっての)
その時、スキル《気配察知》が再び発動。
(今日に限ってなんなんだよ。ふざけんじゃねえぞ)
声が聞こえる。
『へいねーちゃん、俺たちと遊ぼうぜぃ』
「なんですか。ご自身の顔を確認してから声をかけなさいよ」
気の強い女性が、ゴロツキたちに囲まれていた。
彼らは盗賊ギルドの一派らしく、周囲の人間は見て見ぬふり。
(さて、この世界の奴らは無視か。俺も今は何もしてないな……)
そこへ、少年が飛び出す。
『やめろ!』
『あ”ぁ?んだてめぇ!』
『ダメ!逃げて!』
『お、お姉ちゃんを虐めるな!』
『オネェチャンヲいじめないでほしいか』
(うわ。言い方ウザ)
『こうなりゃお前まとめて奴隷商に売りさばいてやらァ!』
『誰かぁ…助けてよ…』
『俺たちゃ盗賊ギルドだぞ。誰も助けになんか来やしねぇよ!』
『ガキャ!くたばりやギャれ!』
「それはダメだ。《ガードシェア》」
金属音が響き、少年への攻撃は防がれる。
(ったくよ、同じ日に同じシュチュで同じスキルを
2回も使うことになるとは……危険な世界だよ)
『……てめぇガキ!何しやがった!』
『え…いや……僕は…うぅ』
(あの子もなかなかなメンタルを持ってるな)
「嬢ちゃんと少年は何もしてねぇさ」
『誰だテメェ』
「ただのしがない学生です」
『俺らの邪魔してただで済むと思うなよ』
「無論、それを承知で割り込んだ」
『てめぇら!まずはこいつからだ!……殺せ!』
『久しぶりの殺しだぜ!』
「やれやれ、実力差が分からないとは。
かくいう俺も全然わかってないんだけどな」
『随分と余裕じゃねぇか』
「お前さんの部下だと一方的だから余裕ってものを見せつけてるだけだ」
『てめぇ……調子に乗りやがって』
「ほら、かかってこいや」
『上等だゴラァ!行くぞ!野郎共!』
トドロキは、知らない者のために拳を振るう。
それは、ただの正義感でも、英雄願望でもない。
ただ、癪に障ったから。
ただ、見過ごせなかったから。
そして、彼の拳は——確かに、世界を少しだけ正した。
ヒャッハー軍団多いなぁ(遠い目)
轟頑張れ( ˙-˙ )౨
ということでまた次回
サラダバー!!
最新 2025/08/24




