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異世界転移?ふざけるな!  作者: 力なき脳筋
異世界転移?ふざけるな!
150/222

call of death

かつて仲間だった者、敵対していた者、

親友と呼びあった者、恋心を抱いたことがある者――

そんな存在を一瞬にして失ったスバル。


怒れる狂戦士アングリーバーサークの発動は、


彼にとって“破壊”ではなく“喪失”だった。

そんな瓦礫の中に、ゆっくりと拍手をしながら近づいてくる男がいた。

死神と名乗る男だった。


『ぃや〜、まさか仲間に対して躊躇しないとは予想外だった。

僕が言うのもなんだけどさ、人の心がないのかな』


「……れ」


『聞こえないなー』


「黙れと言ったんだクソ野郎が」


『おぉ怖い怖い。そういえば君には特別なプレゼントを……

って危ないね。さっきもだけど人が話してる時に攻撃しちゃダメだよ』


「黙れと言ったのが聞こえなかったのか」


『まぁいいっか、僕は帰るね。

今度来た時は君の命を狩りにくるね。じゃあバイバーイ』


「まて……チッ、クソが……なんだあれ」


スバルの視線の先には、巨大な禍々しい門が出現していた。


(……行くしかない……か。クソ野郎の思惑通りみたいで癪だが……チッ)


スバルは重い足取りで門をくぐった。

その先は、コロッセオのような空間。

中心にはグロテスクな肉塊。

その前には黒いモヤに包まれた人型の何かがいた。


それは次第に巨大化し、モヤは空間全体に広がっていく。

クマ以上のサイズ、悪魔の翼、爬虫類の爪、亀の甲羅、

そして頭部には無数の顔が蠢いていた。


スバルは頭を掻き、気だるそうに戦闘態勢に入る。

化け物は魔物のスキルからプレイヤーのスキルまで、

とどまることを知らないスキルの嵐を放ち、

空間は派手なパーティクルで染まった。


「メテオストライク!スラッシュ!」


スバルも応戦するが、数で押し負ける。

神殺しの大剣も効果がなく、ダメージは通らない。


(クソッ、このままじゃやべえな…相手のスキルも何かわからねぇし…)


化け物は常にノイズ音を発していた。


「ザザッ…ザザザッ…ザザッ……チャキン……ザ-」


(くっ…くそが)


攻撃パターンが切り替わり、鉤爪や噛みつきなどの通常攻撃も加わる。

スバルのHPはガリガリ削られていく。


ポーションを惜しみなく使うが、減少値の方が大きい。

スキル《守護神》が初めて発動し、HPは残り1。


(まずい…死ぬっ!)


その瞬間、世界から音が消えた。

ただ1つの足音を除いて。


足音の主は――成神だった。


『やぁ、久しぶりだね。ピンチの時に現れる僕ってかっこよくないかい?』


(なんだ…なんでこいつが…というかなんで止まってんだよ)


『雑談は置いておいて、君にあれは倒せないだろうと思ってね。

1つ提案をしに来たんだよ。新しい人生を始めないかい?』


(何を言ってるんだ?)


『急に言われても分からないよね。君は多分ここで死ぬからね。

記憶と技術を次回の人生に引き継がせてあげようかなって思ったんだよね』


(なぜ…そんなことを…)


『君がお気に入りっていうのと僕の気まぐれだよ。

もちろん君に選択肢は無いけどね』


(ないのかよ……というか体勢くらい変えさせろっての)


スバルはスキルの弾幕カーニバル状態を避けようと、

地面を転がろうとしていた。


『ごめんね、この状態でしか時間を作れなくてね。

さて、時をまた動き出させた時には君は死ぬ。

それでもすぐに別の体で目覚めることになるだろう。

君のインベントリのものもスキルもステータスも

性格も趣味も思考も新しい体に引き継がれる。

見た目は新しい体に代わってしまうけど

【キャラクターチェンジ】というスキルで今の姿にもなれるようにしたからね』


(ご丁寧にどうも)


『さて、そろそろ時が動き出すよ。

死というのは本来、人生に1度きりの体験だからね。

君の【痛覚無効】があったとしても、

想像のつかないくらいの痛みや虚無感、脱力感、

それと走馬灯と呼ばれるフラッシュバックもあるだろう。

僕は君の観察を続けるけど、

新しい人生に神の接触がないことを祈るといい。

じゃあお疲れ様

……大久保 守春くん』


成神の姿が消えると、世界が再び動き出した。

目の前にあるスキルが近づいてくる。

それに伴い、記憶の断片が頭を通り抜ける。


社会的弱者だった頃の記憶

いじめの対象になっていた頃の記憶

強さを求め強者を目指し始めた頃の記憶

力に溺れ多くの犠牲を出した頃の記憶

心を入れ替え真面目に過ごすようになった頃の記憶

良き友人に出会った記憶


数十年分の記憶が一度に押し寄せ、

激しい頭痛がスバルを襲う。


思考する時間すら与えられず、

スバルは絶命した。


(ぐぐ…くっ…異世界転移だ?…ふざけるな……がぁっ…くっ)


熱さと寒さが休む間もなく交互に襲いかかる。


視界が暗くなり、皮膚の感触がなくなっていく。

そんな感覚が数分続いたような気がした。


やがてそれらは消え、

次に感覚が戻ったのは――



暖かい何かの中だった。

150話をもって

【異世界転移】を終了します!


まぁ物語はまだまだ続くので

これからもよろしくお願いしたいです


ということで

サラダバー!


最新 2025/08/24

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