ノゾキの代償
翌日。
温泉でノゾキを企てた男子たちの左頬には、
見事な赤い手形が刻まれていた。
(へっ、あんな漫画みたいなキレイな赤じゃねえか)
スバルは湯上がりのタオルを肩にかけながら、ニヤニヤと彼らに近づく。
「よう、どうしたんだ?その頬は(笑)」
『お前のその言葉に“(笑)”が付いてる気がすることを指摘したい』
「あれ?顔に出てたか?まあ、その通りだがな」
『ニタニタしてっからわかる!
つか、こんな時に近づいてる時点でわかるわ!』
「ハ!欲にかられて正座してたやつらに言われたかねぇな」
『ぐぬぬのぐうの音も出ない』
「いや、出てっから。…だが、そこまで元気なら少し筋トレして行くか?」
『…どうする?』
『スバルが言うんだぜ?だったらついて行った方がいいと思う』
『確かに、あの筋肉の塊が筋トレするって言ってんだ、
なんかいいとこがあんだろ』
「おい、俺は脳筋であって、筋肉達磨じゃねぇぞ!」
『あ、さいですか』
『…じゃ、我らはお暇しまっせ』
男子たちは、言い訳のような言葉を残しながら、森の方へと帰っていった。
(あれ?みんないなくなったな。そんなに筋トレが嫌なのか?)
だが、彼らが森に帰っていった理由は、筋トレが嫌だったからではない。
周囲から「スバルと同類の人間」だと思われたくなかったからだ。
(そのうち、トレーニングルームでも作るか)
スバルは、そんな余計なことを考えながら、次にやるべきことを探していた。
その背中には、筋肉と孤高と、ちょっとした悪意が混ざっていた。
いい子も悪い子もノゾキはしちゃだめですよ
高評価、コメントなどしてくださると、
やる気が出ます
最新 2025/08/24




