新メンバーとお約束
イベントの打ち上げを終えたスバルは、
ギルドホームの浴場にクラスメイトたちを招いていた。
湯気が立ちこめる露天風呂の中、スバルは信介と肩を並べて湯に浸かっていた。
「ふぃー、いいお湯だな」
『な、疲れが取れるわ』
二人は、転移前のジム通いの話や、
昔の宿泊学習の思い出を語りながら、まったりと温泉気分を味わっていた。
その頃、クラスメイトたちも体を洗い終え、次々と湯船に入ってきた。
『あっちぃ~、こっちの世界で温泉につかれるとはな~。
マジでスバルには、感謝しなきゃな』
『ガチでな、しかもこれほどまで本格的なものが無料なんだからよ』
(この感じも久しぶりだな。なんつぅか、この騒がしい感じが…だけどな)
湯船の中は、まるで転移前の男子風呂のような空気に包まれていた。
『なぁ?そういえば女子も来てんのかな?』
『来てるんじゃね?さっき女子がなんかじたばたしてるのを見たし』
『じゃあ、あれやる?お約束のあれ』
『ん?あれ?あれって何?』
『決まってんだろ、ノゾキだよ、ノ・ゾ・キ』
『何言ってんだよw!犯罪だろ!』
(おいおい、くだらないことすんなよ?)
『なあ?スバル?あいつ等止めなくていいのか?』
「んぁ?あぁ、別にいいだろ。さっき高橋さんに
チャット飛ばしといたから、後でそいつらが叱られるだけだからな」
『え!? 止めないの?』
「あぁ、濡れ衣着せられないように先に上がるか」
『…わかった。またあとで入れる?』
「そうだな…俺のギルドに入れば、いつでも使えたはずだがどうする?」
『え?じゃあ入る!』
(いや、軽いな)
「わかった…ほら、これ受諾すりゃあいけるだろ」
『えっと?…あぁ、これね。オケ、受諾した』
スバルはギルドメンバー一覧を確認し、
信介の名前が載っていることを確認する。
「おう、入ってる。…あ、こいつ等フルネームかよ」
「おん、多分スバルと理沙ちゃん以外はみんな、
シャインさんがつけたままだと思う」
(ん?シャイン?)
「…多分今シャインさんが
誰かわかってなさそうだから補足するけど、死神さんだよ?」
「あぁ、あいつか」
「スバルは、人の名前覚えるの苦手だよな」
(あれ?そんなに人の名前覚えてなかったっけ?)
「そんなこと置いといて、そろそろ出ないとまずい」
長話をしている間に、ノゾキ組が桶をピラミッド状に積み上げ、
今にも覗こうとしているところだった。
「…わかった、出るわ」
スバルと信介は、盛り上がっている男子たちを置いて、
静かに“安産地帯”へと避難した。
湯気の向こうで、騒がしさと静けさが交差する――そんな夜だった。
ノゾキ、ダメ絶対‼
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最新 2025/08/24




