アイテム収集イベント①
ギルドホームに、スバルを含むメンバーたちが続々と戻ってきた。
空気には、イベント前特有のざわつきと、どこか高揚した気配が漂っている。
「そろそろやね」
「はい、第三回イベントですね」
「うむ、アイテムの収集であるな」
「そうだな、どうせランキングあるだろうし、
せっかくなら上位目指そうじゃないか」
「はい!がんばります!」
「僕も、やれることをやります!」
「うん、頑張ろう」
その瞬間、全員の視界にメッセージが届いた。
只今より、第三回
ギルド対抗イベントを開始します!
スバルはその文字を見た瞬間、
誰よりも早くフィールドへと駆け出していた。
(雫石の効果はすごいな、速度がまるでちげぇ)
装備していた《雫石》のネックレスが、
彼の移動速度を大幅に引き上げていた。
ただし、代償も大きい。被ダメージは倍、
与ダメージは半分。完全な移動特化装備だ。
(まぁ、この状態じゃ戦闘は無理だがな)
スバルはソロでのプレイを続けながら、黙々とイベントアイテムを集めていく。
その最中、ギルドチャットが反応した。
「今、こっちは順調だよ!そっちはどう?」
「あぁ、そっちはみんなでやってるんだったか?」
「そうですね、ギルマス以外は皆いますよ」
「つかPがソロプレイする理由って聞いていいのかな?」
「理由としてだと、団体戦が苦手でな。
それに、もしかしたら邪魔しちまうかもしれんしな」
「そうなんですか?僕は、あんまり気にならなかったですけど」
「そうだな、アンちゃんのスキルは味方には効果がないらしいし、
それに、そのうちギルドバトルイベントもあるだろう…
慣れといた方がいいんじゃねぇか?」
「わかった、考えておく」
(そっか、確かに、ギルド戦があるかもしれない、
みんなでどっか行くのも悪くないか)
スバルは、少しだけギルドとの距離を見直しながら、
アイテム収集を続けていた。
だが次に現れたのは、モンスターではなく、見知らぬプレイヤーだった。
『ラピッドスラッシュ!』
「っ!出会ってすぐにバトルってか?挨拶の一つもないとはな!」
『悪いが、俺たちのギルドのために死んでくれ』
「ハッ! やれるもんならやってみろ!」
敵は連続でスキルを放つ。
『アサッシングソード!ファントムソード!』
「残念だが、俺に幻覚は聞かねぇぞ?ヘイトアップ!
気配察知!…そこか!チャカフレア!投擲!」
閃光が走り、敵の姿が露わになる。
スバルの投擲が直撃し、襲撃者たちは光に変わって消えた。
「出直してこい、雑魚」
スバルはギルドチャットに「PK狙いがいる」と報告を入れ、再び探索へと戻っていった。
その背中には、孤高の強さと、仲間への静かな気遣いが宿っていた。
メタ的に言えば主人公が悪役のセリフを言ってますね…
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最新 2025/08/24




