理沙視点
ギルドイベントの告知が届いたのは、昼休みの終わり頃。
スバルのもとにギルドメンバーが集まり、
教室はちょっとした作戦会議のような空気に包まれていた。
その後、理沙は数人のクラスメイトと校庭で遊んでいた。
ふと周囲を見渡すと、みんなの職業が個性的であることに気づく。
(みんなの職業、特徴的なのがいっぱいだな~)
転移時に選べる職業は、その人の性格や適性に応じて提示されるらしい。
中には、AWOでいう上級職にあたるものを選んだ者もいた。
たとえば、斎藤 信介は紅侍。
藤井 悠真は聖騎士。
山口 翔は熱属性拳士。
そして、スバルは――脳筋。
(…てことは、スバルは脳筋がパッと出てきたのかな?)
理沙がそんなことを考えていると、隣から声が飛んできた。
「にしても、そんなに強そうな職業で木田に負けたの?」
スバルが少し顔をしかめる。
『うぐっ、だって、急だったしな』
「まぁ、レベルが低かったのかな?それか、木田のスキルが強かったかだね」
そのやり取りを聞いていたのは、スバルの幼馴染・加藤 陽菜。
スバルの実家から数百メートルの距離に住んでいる、昔からの知り合いだ。
「…ねぇ、理沙?スバルは元気?」
「うん!相変わらずだよ」
陽菜はホッとしたように微笑む。
理沙はその表情を見逃さなかった。
(ニヤリ)
「もしかしてスバルのことが好きだったりする?」
『え!いや、そんなことない!』
(ふっふっふ、これは、脈があるね)
「ふーん、ま、今日はこの辺にしておいてあげるよ」
『だから!そんなことないって!』
(陽菜ちゃんは顔に出るねぇ)
理沙はずっとにやにやしていた。
こういう話題が自然に出るのは、
理沙が“女の子”として認識されているからだろう。
理沙自身もそれを理解しているから、こうした会話を平然と楽しめる。
スバルなら、気づいたとしてもそっとスルーする。
それが、理沙とスバルの大きな違いだった。
スバルは、生きていく上で必要な情報だけを集めるタイプ。
理沙は、生活そのものを楽しむために、あらゆる情報を拾い集めるタイプ。
(さて、こないだのイベント上位勢のギルドの偵察にでも行くか~)
理沙はクラスメイトたちと別れ、ひとりギルドエリアへと向かっていった。
その背中には、好奇心と少しのいたずら心が揺れていた。
あれ?理沙視点ってもうすでに終わった気が…
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最新 2025/08/24




