新イベント
唐揚げ――渾身の二度揚げ、下味調整、油温管理。
そのすべての技巧を施した逸品が、食卓の中で唯一残された。
(はぁ…俺の唐揚げがぁ~)
スバルはその唐揚げをインベントリにしまい込み、ひとつ口に運ぶ。
サクッ。口の中に広がる旨味と悔しさが、妙に混ざり合う。
その最中、運営からのメッセージが目に映った。
取得数での勝敗。ギルド単位で競う形式。開催は三日後。
(収集クエストか…さて、ギルメン集めるか)
ギルドホールの天井から吊るされた魔灯が、スバルの表情を照らす。
集まった仲間たちは円卓を囲む。
「さて、みんなも知ってるだろうが、ギルドイベントが来る」
「はい、まものが落とすアイテムの数で競うやつですね」
「うん!がんばろー!」
「「はい、僕(私)たちも頑張ります」」
「うむ、某も駆け回るぞ!」
イベントのルールと目的はシンプル。全員の士気も高い。
スバルはそこに冷静な計画を差し込む。
「なら、準備はいらないな?じゃあ、解散!」
バラバラと立ち上がるメンバーたち。足音と魔法陣の光が交錯し、
それぞれが転移によって持ち場へと向かっていった。
スバルはインターフェースの空間表示で、仲間の転移先をモニター。
マップ上に複数のマーキングが出現する。
(ふむ…東の密林、南端の海岸、北の鉱山帯か…)
ポータルの進化機能により、同ギルド内の空間遷移履歴を一時的に閲覧可能。
スバルは、誰ともかぶらない採取ルートを求め、指先で西域の氷原を選択。
(氷原なら魔物の湧きも独特だし、レア系の素材が期待できるかもな)
冷めかけた一切れをもうひと口。
(俺の料理も、探索も、全部“効率×努力”の積み重ねなんだよ)
スバルはそう呟くと、荷物整理もそこそこに新たなクエストへと向かう。
次回、ギルメン視点
高評価、感想、レビュ―
その他もろもろお願いします
最新 2025/07/27




