表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【旧】転生先が現代日本人ってふざけんなっ! って思ったけどそれが普通だし案外充実してる  作者: せん
幼稚園年少

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/189

#030 ちゃしぶ

 GW最終日。


 スズカは”ちゃしぶ”に抱き着いている。

 何言ってるか分からない? うん、言葉だけでは伝わらない事もある。


 ”ちゃしぶ”との出会いは時をさかのぼること二週間前――




 とある平日。慣れてきた幼稚園も終わり無事帰宅。

しかしスズカはどことなくそわそわしている。


 それもそのはず。

 戸塚宅のリビングの様子はいつもと違い、風船や色とりどりの折り紙で飾り付けられている。壁には「HAPPY BIRTHDAY」の文字。


 そう、今日はスズカの誕生日。


 スズカは今朝頑張って早起きして、出社前のミツヒサさんと一緒に飾りつけをしていたらしい。

 パパ張り切ったな。天井にまで飾りが張り付けられてる。



――ピンポーン



 そうこうしていると後藤家――しほちゃんとマユミさん(しほちゃんのお母さま)がお見えになった。


 ということで、今からスズカの誕生日会。


 ちゃんと招待状も作っていた。ひらがなを確認しながら手紙を一生懸命に書いていた。

 母親同士は根回し済みだったみたいだけど。子どもの知らないところでちゃんとやってるよね。


 メンバーはしほちゃんと僕だけ。

 まだ入園3週間だからね。そんなに呼ぶほどは……。他に友達がいないわけじゃないよ?


 それに人数が多いと大変だ。呼んだら行って、行ったら呼ばなきゃならない。

 プレゼントとか手土産の出費だって考えなきゃならない。我が家の懐は切羽詰まっているわけではなさそうだけど、負担が減るに越したことはない。戸塚家もじきに家族が増えるから同様に。


 そういうわけで今年はスズカと仲が良く、親同士の付き合いもあるしほちゃん(後藤家)だけお呼びすることになった。



 全員揃ったところでミオさんがイチゴのショートケーキを出す。

 そしてカーテンを閉めて部屋を暗くしたら、ろうそくに火を点ける。


「はっぴばーすでーとゅーゆー……」


 発音が良くなり過ぎないように注意。


「――っ、ふぅーーーー」


 歌い終えるとスズカがほっぺたを膨らませて、勢いよく息を吹きかける。

 見事に全部消えたところで、みんなでお祝いの言葉。


「「「「すーちゃんおめでとー」」」」

「ありがとーございます」


 スズカがペコリと一礼。

 しほちゃんと僕より一足先に四歳ということで、ちょっとお姉さんぶってるのが可愛い。


 ミオさんがケーキを切り分ける。ちなみにケーキはミオさんの手作り。スズカの好きなイチゴが乗ったショートケーキ。


 ここでスズカが固まる。イチゴに視線が釘付けだ。

 おそらく上に乗ったイチゴを最初に食べるか、最後に食べるかで悩んでいるのだろう。


 ……あ、途中で食べちゃった。最後まで取っておこうとしたけど我慢できなかったようだ。


 ケーキを食べ終わると次はお菓子を広げる。

 手土産を配らない代わりにお菓子を持ち寄ることになっている。包装の手間とか考えたらしい。


 後藤家からは手作りマカロン。

 昨日マユミさんと一緒にしほちゃんが作ったそうだ。なんだかんだで初めて食べる。おいしい。


 八代家からはシンプルなバタークッキー。

 僕も昨日の夜に母上と一緒にお菓子作り。楽しかったとだけ言っておく。


 ミオさんの振る舞う料理も合わせてつまみながら、みんなでトランプで遊ぶ。

 覚えたての神経衰弱をしたりババ抜きをしたり。スズカとしほちゃんが「むー……」と唸りながら真剣にカードとにらめっこ。癒される。


 ワイワイとはならないがまったりとした時間が流れた。

 どちらかというとママ同士のほうが姦しい。しほちゃん二つ上にお姉ちゃんいるって。次女だったんか。


 遊びに熱中し、楽しい時間はあっという間に過ぎ去り午後6時。


「しーちゃん、まゆみさん、きょうはすーのおたんじょうびをおいわいしてくれて、ありがとうございました」


 最後にスズカがお礼を言う。練習通りにできたね。

 後藤母娘を見送り、しばし三人で遊んでいるとミツヒサさん、続いて間もなく母上が帰ってきた。


「すー、誕生日おめでとー!」

「ぉーーーーー」


 部屋着に着替えたミツヒサさんに高い高いをされて喜ぶスズカ。ホントに高い。


 そして本日の最終イベント。誕生日プレゼント渡し。


 ミツヒサさんとミオさんからは全高50センチほどの大きなクマのぬいぐるみ。クリっとした光沢のある目が可愛らしい。


「すーちゃん、この子に名前つけてあげて?」


 スズカはミオさんにそう言われ、たっぷり沈黙して悩んだ末。




「……”ちゃしぶ”」


 クマのぬいぐるみは”ちゃしぶ”と命名された。

 茶色くて渋いのだろうか。スズカのネーミングセンスはもしかするのかもしれない。



 気を取り直して八代家からの誕生日プレゼント。


「すーちゃん、お誕生日おめでとう。いつもまーくんと遊んでくれてありがとう。私からのプレゼントです」


 母上からはお金遊びセット。二千円札がちゃんとある。銀行勤めのなんとも母上らしいチョイスだね。


「アカリさん。ありがとーございます」


 僕が「ミオさん」と呼ぶのを真似して、スズカは母上のことを「アカリさん」呼ぶ。

 ミオさんは「”お義母さん”と呼んでもいいんだよ?」と言うが……。まだ三歳児だから”お母さん”と”お義母さん”の違い、僕わかんない。


 そして僕からもプレゼント。


「すーちゃん、改めてお誕生日おめでとう。はいこれ……」

「ありがと」


 スズカが丁寧にラッピングを剥がしていく。


 淡いピンクのバレッタ。

 女の子にどんなプレゼントあげれば良いのか分からなかったので、ミオさんと母上のアドバイスしてもらって選んだ。前世の知識が役に立たん。知識がないんだもん。


「すーちゃんよかったね~。気になってたバレッタだよ~」


 アドバイスというより出来レースでした。だがしかし、ありがとうございます。


「まーくんだいすき…………むふぅ」


 お手伝いをして貯めたお小遣いがすべて飛んで行ったが後悔はない。


 次のプレゼントを買えるようにいっぱいお手伝いをしなくては!


読んでいただきありがとうございます。


スズカへの誕生日プレゼントを考えていたら明け方に…

その割にはひねりがなくて申し訳ないです。


次回は…時を元に戻してどうしようか…。


改稿履歴

2020/11/18 18:25 しほちゃんの母親の名前を修正しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ゴールデンウィークが4月だった世界線? 俺がエアプかもしれないけど
[気になる点] アレ? しほちゃんのお母さんって真弓さんじゃ?
[良い点] 懐かしいな誕生日会 我が母上は見栄はってうちにもないディスクシステムプレゼントに選んで友達にくれてやってたわ(# ゜Д゜) あれ?いい思い出じゃないなこれ? あと歳がばれる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ