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【旧】転生先が現代日本人ってふざけんなっ! って思ったけどそれが普通だし案外充実してる  作者: せん
幼稚園年中

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#158 遠足は始まる前から始まっている

遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。

活動報告を見てくださった方々も改めまして、明けましておめでとうございます。


今年もマコトとスズカの日々を、温かく見守っていただければ幸いです。

 幼稚園の秋は長い。


 ひのもり祭り。

 かぼちゃ祭り。

 山登り。


 年長さんは修学旅行。

 PTAは秋のバザー。


 今年度にも慣れ、来年度までの猶予もあり、過ごしやすい気候の秋はイベントが盛りだくさん。


 そのため幼稚園の先生たちは、スケジュール作成やらシミュレーションやら関係各所との調整やらに追われ、心身休まるのはもうしばらく先となる。


 ……中にはエステでリフレッシュしていた先生方もいるようだが、別に休んではならない決まりはない。


 ということで、本日はバス遠足。


 行先は市内のはずれにある動植物公園。通称あけちパーク。

 本格的な動物園と植物園、自然史博物館、遊園地が併設されたアミューズメントパークだ。


 幼稚園の敷地の傍らには貸切った九台の中型バスが停まっており、続々と登園してきた子どもたちは、遠足の特別な空気に当てられたり、見慣れぬ大きなバスに乗れるとあって興奮気味だ。


 しかし中には悲痛な面持ちの子もいないわけではない――


「まーくん……」

「今のうちにいっぱい充電しとく……?」

「ん、する」


 無言で見つめてくるスズカ。

 その容易に想像できる心情を察すれば、マコトもそう提案するしかない。


 去年のバス遠足ではずっと傍にいられた。

 バスの席も隣。移動中も手を繋いでいた。お昼もピクニックシートをくっ付けて一緒に。


 しかし今年は別々のクラス。現地での行動はクラスごとに分かれるし、乗り込むバスも当然違う。


 昨日まではしおりを見ながら楽しそうに準備していたのに、当日なってみればこの通りである。


「まーくんといっしょにいきたい……」

「そうだね。僕もすーちゃんと一緒が良かったな」

「……ん」


 本来楽しみなはずのバス遠足。だが肝心のマコトが隣にいない。

 スズカからすれば、その楽しみは半減どころの騒ぎではないのだ。


 ひつじ組にはシホを始めとした仲の良い友人たちもいるが、それとこれとは話は別。


 物心ついた時には一緒に過ごしていたスズカにとって、マコトが傍にいるのは当たり前の光景。自然の節理。

 マコトの存在は他とは比べられない程大きなものなのである。


 その不安や不満からか、いつもより強めに、長く充電をするスズカ。

 周りが子どもらしくワイワイガヤガヤとしている中、二人が作る空間だけはいつも通りである。


「むふ……」


 幸せな時間を満喫するスズカ。しかし、いつまでもそうしているわけにはいかない。


「あの~、お二人さん。そろそろお時間なのですが~……」

「あ、はい」


 申し訳なさそうに二人に話しかける先生。

 事情を十二分に理解しているマコトは素直にうなずく。


 彼は模範生(ボス)だ。従うべきルールには従う。でなければ他の子たちに示しが付かない。秩序が乱れる。


「すーちゃん」

「……むぅ」

「ほら、シホちゃんたちも待ってるからさ。……また後でね」

「……ん」


 名残惜しそうに、最後に強めのぎゅうをしてマコトから離れるスズカ。


 別々のクラスになって半年が過ぎ、スズカも少しの間はマコトを我慢できるようになってきている。少しずつではあるが、確実に成長しているのである。


「ばいばい」

「うん、ばいばい」


 手を振り、しばしのお別れ。

 シホたちの元へと向かうスズカの背を見送る。


「ふぅ……」


 今日もどうにかスズカの機嫌を保てたと、マコトは安堵から一息つく。


 進級式以来、スズカが涙を見せたことはないが、それでも慎重にはなる。

 昨日まで大丈夫でも、今日は違うかもしれない。


 今回のような遠足の日であれば、楽しみと寂しさで感情が混乱してしまうこともあるだろう。


 簡単にやっているように見えて、かける言葉を間違えないようにとドキドキハラハラしているのである。表情には出てこないだけで。


「……さて、僕も頑張……る必要はないんだろうけど……」


 マコトは気合を入れる。

 遠足はまだ始まっていない。




 そんな彼を迎えるのは――


「トラのほうがつよい!」

「ライオンがいちばんつえーんだぞ! だってひゃくじゅーのおーなんだぞ!」

「だんし! しずかにして!」

「だれかオレをよんだか!?」

「ずかんではカバがさいきょーってかいてあった!」

「オレもカバだとおもう。でもにんげんがいちばんこわいんだよ」

「え、そーなの?」

「うん。マコトがいってた」



「――あっ! マコトきたっ!」

「マコトくん、ヒロマサくんとミナトくんが……」

「……ヒメノちゃんが頑張ってるから任せよう」

「う、うん……。 ……ねぇマコトくん、えんそくたのしみじゃない?」

「えっ……、どうして?」

「えっとね、なんだかね、いつもよりしょんぼりしてるきがするの」

「そんなことないけど……、楽しみだよ。ミホシちゃんは?」

「えっとね、ミホシもね、たのしみ!」

「ぼくも!! いっぱいどうぶつさんみる!!」

「ユウマは去年行けなかったもんね。無理はするなよ?」

「うん!! だいじょーぶ!! いっぱいねたから!!」

「そっか」

「きょーはぜったいバスにのるってきめてるから! おとーさんね、こんなにおっきなくるまもってないからたのしみ!」

「……そっか。バスには乗れるだろうから、今は体力温存しておいた方がいいぞ。眠くなっちゃうよ?」

「わかった! おんぞんする!」

「じゃあミホシも!」

「みんなでおんぞん!」

「おんぞんするぞー!」

「「「おー!!」」」

「おんぞん!! おんぞん!!」

「温存しろって」

「おんぞんってなに!?」


 ――いつもよりちょっとテンションが高いうさぎ組である。

読んでいただきありがとうございます。



長らくお待たせしました。


コロナ渦になって完全に在宅ワークになり、

二時間あった通勤時間と言う名の読書時間が無くなり、

それと同時期に読書用のタブレットもバッテリーがお亡くなりに。


時間の使い方もだいぶ変わり、小説離れが一気に進み、アニメも観なくなり、ゲームも…

そうすると創作意欲が湧かなくなりスランプに…


年末年始をOSSの開発とLog4jの影響調査に費やしながら、

結局OSSも小説もやる気が出た時しか作れないし作る必要ないよねと着地。

何のためにメディア化していないんだって話な訳で…


そんな感じで今年は気楽にやっていこうと思います。

どうぞよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 遠足…ボスの出番も多そうだ…! ゆっくり更新待ってます〜!
[良い点] いつも楽しく読ませてもらっています。 次の更新を心待ちにしています。
[一言] Log4jかあ。なんか大変そうでしたよね。ゆっくりとだけれど、Javaの環境って悪化して行っている気がする。やっぱり、Oracleが買ったせいだろうなあ。 幼稚園のクラスはまだ少ない方で、…
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