68 暴露
新作小説連載中です!
『スカッと悪役令嬢 すべての令嬢から嫌がらせされているので、逆に破滅フラグをブッ刺してやりました! そしたら婚約破棄したはずの令息たちが、急接近してきて…』
このお話の最後、あとがきの下に小説へのリンクがあります。
絶対にスカッとできるお話なので、ぜひ読んでみてください!
さすがに二度も同じ手に引っかかる俺ではない。
顔の前で広がる砂埃を飛び退いてかわすと、フリュンヌは一瞬のスキをついて逃げ出す。
ゴキブリのようにシャカシャカとステージ横断したあと、客席めがけて飛び降りた。
本来ならば、憧れのヒーローが来てくれたと観客は大パニックになっていただろう。
しかし今のヤツに憧れる者など誰もおらず、それどころか若干引き気味だった。
フリュンヌは自分の人気が風前の灯であることに気付いていない。
ヒーローとは程遠いズタボロの格好で、いつものように宝塚調の大げさな身振り手振りで喧伝する。
「あ……あのゴミ野郎は卑怯なヤツなんら! いまこそファンのみんなの力を貸してほしいのら! さぁ、みんなでステージにあがって、あのゴミ野郎を袋叩きにするのらっ!」
俺に歯が全滅させられたせいで、よく通るはずの声もフガフガしている。
その情けなさ全開の顔に、引き気味だった観客たちはドン引き。
誰もが逃げるように、ヤツのまわりから離れていった。
ここまでされてもヤツはまだ気付かずにいる。
「ふにゅん!? もしかして緊張してるんら!? 無理もないのら! ボクは千年にひとりの大スターなんらから! あのゴミ野郎をブチのめしたファンには、特別にツーショット写真を撮らせてあげるのら!」
それじゃあそろそろ、『現実』ってものを見せてやるとするか。
アイツはもちろんのこと、その他大勢のヤツらにも、な……!
俺は衣装のポケットにしまっておいたスマホを取り出す。
画面を何回かタッチすると、
……パッ!
と頭上のモニターが切り替わる。
そこに映し出されていたのは、とある動画だった。
『フリュ~ン。プロデューサークン、キミもだいぶボクの好みをわかってきたじゃないか。視聴者応募で来るのはババアばっかりで、もううんざりだったんだよ。ここのところ、妖怪みたいなババアばっかり抱いてきたから、ちょうどよかった』
それは小一時間ほど前、控室でくつろいでいた、フリュンヌの姿……!
俺は気付いていたんだ。
『AV人間』のスキルは、なにも目や耳で見たり聞いたりしたものだけが記録されるわけじゃない。
『心眼』で感じ取ったものも、記録されことを……!
これは偶然だったが、フリュンヌの楽屋での素行をバッチリ押えることができた。
いざとなったら何かに使えるだろうと思い、ステージの液晶モニターにキャストできるようにしておいたんだ。
肌の毛穴まで見えそうなほどに、モニターにどアップになったフリュンヌ。
そのドヤ顔から繰り出されるファンへの暴言は、もはや言い逃れできないレベルのものであった。
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