06 着替えガチャ
俺は、『人生ガチャ』の画面に映ったステータスを眺めていた。
……コレって、何か意味があるんだろうか?
こういうステータスは、ロールプレイングとかのゲームには付きものだけど、『人生ガチャ』はそれらの数値が活かされそうなものはない。
もしかして、今ここに表示されているのは、現実の俺のパラメーターだったりするのか……?
いや、いくらなんでもそんなことはありえない。
ガチャで嫁とカップラーメンが手に入るのは説明がつくけど、肉体がパワーアップするだなんて……。
……ピロリン!
ふと、ステータス画面に割り込んでくるように、新たなガチャが現れた。
『着替えガチャ』
今度は何なんだ。
なんにしても、もう少々の事では驚かないぞ。
俺はポチポチとボタンを叩いて、新たなるガチャを引く。
すると画面に、ユズリハそっくりの女の子が現れた。
服装は現実の彼女と同じ、セーラー服だ。
彼女はテレビのバラエティ番組とかで、生着替えをする時の筒状のカーテンにすっぽりと包まれる。
しばらくのドラムロールのあとに、現れたのは……。
『スクール水着』
そのテロップが示すとおり、まさしく紺色のワンピース水着姿の、ユズリハであった……!
……ドサッ!
『飯ガチャ』の時と同じく、玄関の外に何かが置かれる。
もう自分の仕事であるかのように、当たり前のように飛び出していくユズリハ。
戻ってきた彼女が、困惑しきりの表情で、手にしていたのは……。
まぎれもない、『スクール水着』であった……!
彼女は赤みの残った困り顔で、俺に言う。
「あの、旦那様。すこしお風呂場をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「ああ、構わないよ。垢まみれだけど……」
ユズリハは「ありがとうございます」とぺこりと一礼して、台所の向かい側にある浴室に入っていった。
ま、まさか、なぁ……。
と思っていたんだけど、そのまさかであった。
次に浴室の扉が開いたときに、俺の前に現れたのは……。
スクール水着姿の、JK……!
ここはプールでもないし、そのうえ夏でもないのに……!
しかも自分で着ておきながら、めちゃくちゃモジモジしてる……!
わからないことだらけだったけど、ひとつだけ確信したことがあった。
彼女はやはり、着痩せするタイプ……!
白木のようなほっそりとした身体なのは想像どおりだったが、胸部はけしからんほどに盛り上がっている。
どのくらいけしからんかというと、彼女が腕で覆い隠しているというのに、横からはみ出るくらいに……!
しかも見た感じ、このスク水は、俺の学生の頃にあったような、古いタイプのものであった。
ブルマと並ぶ、絶滅危惧種のJKが、今ここに……!
「あっ、あのあの、あの……。すみません、旦那様……はしたない姿を、お見せしてしまって……」
だったらなんで着たんだよ、とも思ったが、着てくれてありがとう、とも思った。
……ピロリン!
『チャレンジ達成! はじめてのお着替え』
『チャレンジ達成! 嫁にスクール水着を着せた』
『パワーアップガチャチケット 2枚ゲット!』
スマホには、すでに見慣れつつある通知が表示されている。
しかし今回は、見慣れぬ項目がひとつあった。
『ミッション発生!』