50 禁断の領域
俺のアパートの台所は、かつてないほどのエロゾーンと化していた。
ふたりの女子高生が、ハダカ同然の衣装でいるってだけでも、マズいってのに……。
押し倒されたように床に伏し、頭のてっぺんから足の爪先まで、全身を白濁液まみれにしているだなんて……!
白濁液は元は牛乳と卵が合わさったモノなので、妙に粘り気がある。
少女たちの肢体から糸を引くようにしたたり落ちる様は、美しき蝶たちを絡め取る蜘蛛の糸のようだった。
「いたたた……と、とりまユズっち、大丈夫……?」
「は、はい……。キャルルさんこそ、お怪我はございませんか……? すみません、わたくしがうっかりしていたばかりに……」
ふたりとも、前髪からドロッとしたものが垂れてきて、目頭に落ちていた。
瞬きするたびに長い睫毛が糸を引き、目もロクに開けていられない状況だというのに、真っ先にお互いのことを心配している。
俺はこんな時だというのに、エロい子……。
いや、いい子たちだなぁ、なんて思ってしまった。
「ううっ、口の中にまで入っちゃった……口の中までドロドロだし……」
「はい、わたくしも、です……」
ふたりは口の中のモノを吐き出すのだろうと、俺は思った。
しかし予想に反し、彼女たちは天を仰ぎ、瞼をきつく閉じると、
……ごっくん……!
細い喉を鳴らして、飲み下したっ……!?
「うぇぇ、まっずぅ……」と舌を出すキャルル。
口の端と顎から、ぽたりぽたりと白い雫をしたたらせている。
「とっても濃かったですね……」と、手で上品に口を押えるユズリハ。
しかし手のひらもベトベトだったのか、手を離すとニチャアと鼻先が糸を引いた。
吐き出そうとせずに、飲み込むだなんて……。
ふたりとも、食べ物を粗末にしないんだな。
俺はこんな時だというのに、エロい子……。
いや、いい子たちだなぁ、なんて思ってしまった。
すると彼女たちは、さらに信じられない行動に出る。
「もったいないから、とりま身体についた分だけでもなめちゃおう」
「はい、そうですね。はしたないですけれど、食べ物を粗末にするのは、もっといけないことですから」
なんと、手のひらに残っていた濁液を、まるで手のひらの上に出されたのを、飲……。
い、いやいや、皿の上のミルクを飲む子猫みたいに、ピチャピチャやりだした……!
そしてとうとう、禁断の領域へ……!
「あ、ユズっち、ほっぺたにいっぱい付いてるっしょ。とりま、舐めてあげるし」
「えっ? あっ、そんな……! く、くすぐったいです!」
ぺろり……! とユズリハの頬を、キャルルが舐めたっ……!




