49 ラキスケ
画面をタッチして衣装の説明を非表示にすると、ガチャの選択画面に戻る。
そこで、ガチャチケットが4枚余っていることに気付いた。
そうだ、今日もこれからモンスターバスティングに出かけるんだから、パワーアップしておくか。
もし途中でミッションが発生したら、無料のガチャは引けなくなってしまうからな。
相変わらずキャッキャと賑やかなキャルルとユズリハを横目に、俺は『パワーアップガチャ』を選択。
無料のチケット4枚と、さらに所持金の10万円をつぎ込んで、5回ほど回してみた。
すると、
『ノーマル:敏捷+1』
『アルティメットレア:心眼(4)』
『シークレットレア:神夢想流(7)』
『ウルトラレア:AV人間(1)』
『レジェンドレア:ラキスケ(2)』
という結果になる。
そのあとに表示されたステータスは、
名前:俺
HP:53
MP:14
攻撃:52
守備:52
魔法:22
奇跡:14
体力:53
筋力:52
敏捷:51 ⇒ 52
器用:52
知力:22
信心:5
精神:22
魅力:1
運勢:1
技能
ラキスケ(1) ⇒ ラキスケ(2)
空手(3)
フードコーディネーター(5)
NEW! 心眼(4)
NEW! 神夢想流(7)
NEW! AV人間(1)
おおっ、今回は技能が4つも出たぞ!?
『心眼』と『神夢想流』って、名前からして凄そうじゃないか!
『AV人間』?
これはあんまり、凄くなさそうだな……。
そもそも、俺はすでにAV人間といっていい。
嫁が来てから初めて欠かしてしまったけど、それまでは毎日かならずAVを嗜んでいたんだからな。
そんなことよりも、『ラキスケ』だ。
このスキルって、こんなに高レアリティだったのか!
でもラキスケって、『ラッキースケベ』の略だろ?
そのレベルが上がったからって、いいことあるのか?
なんて思っていたら、
「あーし、喉かわいっちゃった! 牛乳のーもっと!」
「あっ、キャルルさん。それでしたら、わたくしがお持ちいたします」
「いーっていーって! 自分でやるから!」
「いいえ、わたくしはお役に立てておりませんので、せめて身の回りのお世話をさせてください。本妻様であるキャルルさんは、旦那様のおそばに……」
「いーからいーから! あっ、冷蔵庫の中に卵白が残ってたんだった! せっかくだから、牛乳プリン作ろっと!」
「ぷり……? ああ、朝方キャルルさんがおっしゃっていた、茶碗蒸しさんのことですよね? それでしたら、わたくしが……」
冷蔵庫の扉を開けっぱなしにしたまま、言い合う少女たちが目に入った。
まるでタクシー代をどっちが払うかでモメているサラリーマンのようだったが、なぜかいきなりキャルルが、
……すってーん!
と転んでしまった。
ユズリハも巻き込まれて、尻もちをついてしまう。
彼女たちが奪い合っていた牛乳は、宙を舞っていた。
なぜか、卵白の入ったボウルも一緒に。
それらが、上手い具合に空中で混ざり合う。
牛乳単体だけならそれほどでもなかったのだろうが、卵白が混ざったおかげで、完全に『ねばねばした白いモノ』と化す。
その誤解を招きそうなビジュアルの汁、いや液体が、まさにぶっかけるように、
……どばしゃっ!
と少女たちの美しき肢体に、容赦なくぶちまけられた。




