48 衣装の効果
浴室から引きずりだされたユズリハは、キャルルとは色違いのサンバ装束であった。
露出も負けず劣らずで、大切なところ以外はほぼ丸出し。
俺と目が合うなり、
「す、すみません旦那様! このようなはしたないお姿をお見せしてしまって! す、すぐに引っ込めますから……!」
まずい料理を出してしまったメイドのように、申し訳なさそうに身体を縮こませるユズリハ。
手を使って身体を覆い隠そうとしていたが、キャルルはすでに彼女の行動パターンはお見通しとばかりに、手をガッと掴んで阻止していた。
「もう、隠してちゃダメだって! せっかく超ビューティなんだから、ぜーんぶダーリンに見てもらわないと! ほらっ!」
「ああっ!? い、いけません、キャルルさんっ!? あっ……あ~れ~っ!?」
ユズリハとうとう羽交い締めにされ、俺の目の前でみずみずしい肢体を完全解放させられていた。
身体はどこもかしこも真っ白で、俺と同じ生き物とは思えなかった。
しかもシミもホクロも無くて、毛もなくてつるんつるん。
パックリ開いた脇はまばゆい光を受け、剃り跡どころか産毛の気配すらない。
身体はキャルルがムッチリなのに対してスレンダーで、どこも折れそうなほどに細かった。
しかし胸だけはいい勝負。
キャルルの場合は元気にぷるんぷるん揺れていたのだが、彼女の場合は、羞恥にふるふると震えていた。
へそは縦長で、美しい檜の木目のように控えめ。
よせばいいのに下腹部を覆う布まで控えめな面積で、切れ上がった脚の付け根が極限まで見えている。
極限といえば、表情も羞恥の極地にいるかのようだった。
そむけた横顔はすっかり上気していて、頬からうなじ、首筋にいたるまで真っ赤に染まっている。
そして今にも泣きそうだというのに、
「す……すみません、旦那様……! このようなはしたない身体で、御目汚しをしてしまって……! どうか、どうか、お許しを……!」
いじらしく懇願してくるのが、もうヤバかった。
俺はこれ以上見ていたら、おかしくなりそうだったので、目をそらしてスマホに逃げる。
「もーっ! なんでユズっちってば、自分の身体を『はてしない』とか言うの!? こんなに超ビューティなクセして!」
「ちょ、超尾骶い、ですか……? お尻みたいに、他人様にはお見せできない、みっともない身体という意味ですよね……?」
漫才のような少女たちのやりとりをよそに、『人生ガチャ』の画面を見ていると……。
さっき引きあてた『サンバ衣装』の説明が出ていた。
特殊効果1: 温度調整
この衣装だけでも、寒く感じないようになる。
特殊効果2: ダンス技能向上
所有しているダンス技能のステータスが、150%アップする。
特殊効果3:魅了抵抗
魅了の状態異常にかかる確率を低下する。
なんだかゲームとかに出てくる『マジックアイテム』っぽいな。
いまは1月だというのに、この薄着で彼女たちが寒がっていないのは、『温度調節』効果のおかげだろう。
なんにしても、いい衣装を引き当てたかもしれないな。




