47 サンバカーニバル
……ピロリン!
画面を見てみると、もうおなじみとなったガチャのボタンがあった。
『着替えガチャ』
どうやら『着替えガチャ』というのは、毎日同じタイミングで出現するらしい。
これを引いて出たものに、ユズリハは着替える。
多分だが、キャルルも着替えるのだろう。
いま、ユズリハは巫女装束で、キャルルはどこかの学校の制服だ。
どちらもよく似合っているが、なんとなく他の格好も見てみたいと思い、俺はボタンをタッチする。
ガチャ演出の後に、出てきたのは……。
『シークレットレア:特殊効果つき衣装』
今まで見たことのないレアが、『着替えガチャ』から出てきた。
……ドサリ!
玄関にいつもの音がするなり、
「あっ、なんか来た! とりま行こっ、ユズっち!」「はいっ!」
ふたりはなぜか手を取り合って、ぱたぱたと取りに出る。
もうすっかり仲良しだな。
届いた段ボール箱はふたつで、それぞれが持っていた。
キャルルは俺の目の前にそれを置くと、いきなりブラウスのリボンをほどき、服を脱ぎ始める。
俺とユズリハはぎょっとしてしまった。
「お、おいっ!?」「きゃ、キャルルさん、旦那様の前のお召し替えなんて、はしたないです! こ、こちらに……!」
「え? なんで?」と不思議そうな顔のキャルルを、風呂場に引っ張っていくユズリハ。
そして、しばらくの後、出てきたのは……。
もはや、『はしたない』を通り越した、とんでもない扮装のJKたちであった……!
ビーズで編んだようなキラキラのビキニに、南国の鳥のような極彩色の羽根。
これはもしかして、『サンバカーニバル』の衣装……!?
それを、キャルルはブラジルからやってきた本職の人みたいに、見事に着こなしていた。
プロポーションが抜群なのと、健康的な肌の色のせいだろう。
「うぇーいっ! とりま、これ最高じゃんっ! どぉ、ダーリン?」
腰を抜かしたように座り込んだ俺の前で、お尻をフリフリ一回転するキャルル。
それは衣服というよりも、完全に水着であった。
胸は半分から下が辛うじて覆い隠されているくらいで、少し動くだけでぷるぷると波打つ。
そこから視線を落としていくと、やわらかな曲線を描く腰と、その中央にある、ふっくら丸いおへそが目に入る。
そしてきらびやかなパンツは下腹部を申し訳程度に覆い隠すだけで、むっちりとした太ももが丸出し。
人間性の解放のような、フリーダムさ全開の、その衣装……!
俺は思わず、アミーガ! と叫びそうになってしまった。
もうそれだけでお腹いっぱいだったのだが、そういえば、もうひとり残っていた。
もうひとりのアミーガは、風呂場から顔だけ出し、
「あ、あの……すみません……。こんなお見苦しい格好を、旦那様にお見せするわけには……」
リンゴを通り越した、トマトのような顔で言った。
「あっはっはっはっはっ! なにワケわかんないこと言ってるし! ユズっち、超ビューティーなんだから、ダーリンもきっと喜んでくれるって! とりま、こっち来るし!」
「びゅ……びゅ、て……? きゃあっ!?」
キャルルの手によって引っ張り出されたアミーガは、もはや犯罪級ともいえる『はしたなさ』であった。




