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41 賑やかな入浴

 食事のあとは、嫁たちが沸かしてくれた風呂に入る。

 二日連続で風呂に入るなんて、実家にいた時ぶりくらいかもしれない。


 初日は長風呂だったが、今日はさっさとあがると……。

 俺の嫁たちは、くんずほぐれつしていた。


 なぜか、ふたりともバスタオル一枚の姿。

 その最後の砦すらも脱げてしまいそうなほどに、キャアキャアと大騒ぎしている。


 といっても攻めているのはキャルルばかりで、ユズリハは防戦一方。

 とうとうバックを取られ、バスタオルがはだける勢いで、胸をもみしだかれていた。


 それでもユズリハは弱々しく抵抗するばかりで、ほとんどされるがままになっている。



「あっあっあっあっ! い、いけません、キャルルさんっ! こ、このようなことをなさっては……!」



「ユズっちが、自分の身体のことを『見苦しい』なんて言うから、調べてるんだって! とりま、こんな白くてぷにぷにの身体が、見苦しいわけないっしょ!」



 ふたりは子ライオンのようにじゃれあっていたが、俺が出てきた途端……。

 まるで時が止まったみたいに、ピタリと動かなくなった。



「あ……。ダーリン、もう出ちゃったの? 超早いんですけど!? あっはっはっはっ!」



「す……すみません旦那様。お見苦しいものを、お見せしてしまって……!」



 ユズリハは顔を伏せ、ササッと身体を覆い隠す。



「まぁたそんなこと言ってるし! んじゃしょうがないから、あーしらもおフロ入ろ! ユズっちの身体は見苦しくないってこと、教えてあげるし!」



 キャルルはユズリハの手を取って、連れションにでも誘うように導く。

 ユズリハは顔を伏せたまま、俺から逃げるかのように、パタパタと風呂場に駆け込んでいった。


 そのあとは、水のばしゃばしゃ流れる音と、キャッキャした黄色い声が、風呂場から響く。


 ……なんかキャルルが来てから、急に賑やかになったなぁ。


 なんて思いながら部屋の隅を見やると、きちんと畳まれた、みっつの服の山が目に入る。

 ひとつは俺が脱ぎ散らかしていったやつで、ふたりはユズリハとキャルルが着ていた巫女服と制服だ。


 ……もしかして、あの中に下着も入っているのかな?


 女子高生ふたりの脱いだばかりの服が目の前にあるだなんて……。

 まるで、札束が落ちているようなもんじゃないか。


 昔の俺だったら、一も二もなくポケットに入れていただろう。

 そして神棚に飾って、一生のオカズとして、大切に大切に使っていただろう。


 でも、今は違う。

 俺はもう、下着なんかをコソコソ盗まなくてもいいんだ。


 なぜならば、あの中身を、まるまる手に入れたのだから……!

 それも、ふたりも……!


 そう、俺は『ハーレム王』なのだ……!


 今の俺にとっては、あの札束も、路上に落ちてる1円でしかない。

 いや、10円くらいの価値は……。


 いやいや、50円? 100円……?

 ううん、500円くらいはあるかも……?


 ……500円が落ちてたら、たとえビル・ゲイツでも拾うかもしれない。


 だったら、俺が拾ってもおかしくはないよな。


 なんて自分に言い訳をしつつ、たたんだ服に近づこうとしていたら、



「あっ、ごめんダーリン! 着替え持ってくるの忘れちゃってた!」



 いきなり風呂場から、バスタオル姿のキャルルが飛び出していって、回収業者のようにふたつともかっさらっていってしまった。

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