表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/72

38 恋人つなぎ

 俺のふたりの目の嫁、キャルル。

 彼女は出会って5秒で合体、といわんばかりに俺に密着していたのだが、街路樹のように立ちつくしているユズリハを見つけると、



「あっ! もしかして、あなたもお嫁さん!? うぇーいっ! とりま、よろしくぅ!」



 まるで木から木へと飛び移るモモンガのように、ユズリハにぎゅむっと抱きついた。



「きゃあっ!? はっ、はひっ! も、申し遅れました、わたくしは愛染流(あいぜんりゅう)ユズリハと申します……。きゃ、キャルルさんは、旦那様の、本妻様なのですね」



「ホンサイ? あ、ソレ知ってるし! とりま、じいちゃんとかがよく、庭でいじってるやつっしょ!?」



「えっ? あ……そ、それはおそらく、盆栽だと思うのですが……。本妻というのは、旦那様にいちばん愛されているお嫁さんという意味です。旦那様ほどの立派な殿方は、より多くのお嫁さんを(めと)って当然だと思っておりました。そしてキャルルさんのような美しいお方であれば、旦那様の本妻様に相応しいと思った次第です」



 新しい嫁の登場に、ユズリハはショックを受けているのかと思いきや……。

 ハーレムという概念については、意外にも理解しているようだった。


 しかし真摯なユズリハの言葉を、キャルルは豪快に笑い飛ばした。



「あっはっはっはっ! ナニ言ってんだかぜんぜんわかんないし!」



 再び唖然とするユズリハ。

 彼女はむしろ、キャルルのあけすけ過ぎるキャラに面食らっているようだ。



「よくわかんないけど、とりま、一番とかどーでもよくなくない? ユズっちもあーしも、どっちもダーリンのお嫁さんなんっしょ? だったらとりま、みんなでラブラブすればいーじゃん! うぇーいっ!」



 キャルルは両者の仲を取り持つように、俺とユズリハの手を引っ張って引き寄せた。



「ほらほら、とりま手ぇ繋いで! ……って、あっはっはっはっ! 普通に繋いでどーすんの! こーいう時は、恋人つなぎしなきゃ!」



 キャルルはケタケタ笑いながら、俺とユズリハの指を絡め合わせ『恋人つなぎ』にした。



「これでよし、っと! じゃあ、ダーリンの反対側の手は、あーしと繋ぐし! とりま、これでみんなラブラブっしょ!? じゃあ、ダーリンのお家にかーえろ! カエルが鳴くからかーえろ! カーカー! ほら、ユズっちもいっしょに!」



「えっ!? は、はいっ! かっ……かーかー!」



「それ、カラスじゃねぇか」



「そだっけ? まーなんでもいいいっしょ! とりま、みんなでいっしょに!」



「「「カーカー!!」」」



 俺とユズリハは、キャルルのペースにすっかり巻き込まれてしまっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 急なバカ展開w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ