24 わし掴み
俺はブルブルと顔を振って、昔の思い出を頭の中から追い出す。
そして、眼前にいるハスミめがけて、
……ぐばあっ……!
と、獲物に襲いかかる吸血鬼のように、両手を振り上げ……!
「この俺を……昔のまんまだと思うなよっ……!」
裂帛の気合いとともに、振り下ろすっ……!
……グワシィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーッ!!
俺の光って唸る両手が、ハスミのいちばん豊かな部位をわし掴みにする。
……むにゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーっ!!
それは制服ごしだというのに驚くほどの弾力。
力を込めると、指の形に埋まり込んでいくほどであった。
「あっ……!? ああああーーーーーーーーーーーーーーーっ!?」
絹を裂くような悲鳴を、女子トイレじゅうに響かせるハスミ。
トイレには幸い、俺とハスミとユズリハの3人しかいない。
従ってこの助けを求める声は、誰にも届かない……!
ハスミは身体を引いて逃げようとしたが、俺は掴む力に押す力を加えて、ヤツの身体を壁際に抑えつけた。
スライムのような弾力をぐにぐにと揉みつぶすと、ヤツは身体をよじらせて逃げようとする。
「あっあっあっ!? やっ、やめ……!」
でもやめない。
するとハスミは観念したのか、あっさり抵抗をやめた。
俺の手の上に、さらに律動を促すように白い手を重ね、色っぽい吐息を漏らしはじめる。
しかし俺は無我夢中だった。まるで叩きつけるように身体ごとぶつかっていく。
ドスン! ドスン! とした衝撃が、ハスミごしに壁に伝わり、ギシギシと軋む音をたてる。
やがて俺の下になっていた女は、鮮やかなネイルの手で、自らの口を塞ぐように覆い隠すと、
「んっ! んふっ! んんんっ!」
くぐもった声を漏らしながら、ビクビクと痙攣した。
そして、まるで達してしまったかのように、
……くたぁ。
とハスミの全身から、力が抜けた。
彼女はしばらく目を伏せたまま、ふぅ、ふぅと荒い息をしていたが、汗で髪が張り付いた顔をあげると。
「男の人に、こんな強引にされたの、初めて……」
濡れた瞳でウットリと、俺を見つめた。
しかし俺は、それどころではなかった。
「おっ、おまっ!? も、もしかして……!」
そう、ヤツのこめかみの上のあたりに、人間には無いはずのものが……。
今までは無かったはずものものが、確かに生えていたのだ。
山羊のような、角が……!
彼女はふふ、と妖艶に笑った。
「どうやら、私の負けのようね。あなたのいきなりの行動に、ついびっくりしちゃって、本当の自分を出してしまったわ……。あなたの予想どおり、私はモンスターなのよ……。私は、人間ではなくて……そう、『淫魔』……!」
「「さ……淫魔っ!?」」
俺とユズリハは、思わずハモってしまっていた。




