いろいろやばい次元家の人々
「じゃあ、皆生きてるってことか?」
「そもそも行ってないからな。お前のことも覚えられてないが、ちゃんと生きている」
その言葉で、お兄ちゃんの顔がひまわりのように明るくなった。
はうあ!かわゆい。カワユイよお兄ちゃん。そのまま時間を止めて一生愛でてたいくらい尊い。
よしっ、この記憶は厳重にプロテクトしていつでも再生できるようにしよう。
でもいただけないのは、この笑顔がアタシに向けられたものではないってことね。
これからのアタシの目標は、アタシ自信の力でお兄ちゃんをこの笑顔にすることだー!
がんばるぞー。うへへ。
「今回の任務は、まず失敗したときに何が起こるか想像できるようにすることだったのか。たしかに百聞は一見に如かず、失敗したときに恐怖は存分に味わったけど・・・・・・一生のトラウマだよ」
安心したのか、少しおどけたように言ってみせるお兄ちゃん。
良かった。元のお兄ちゃんだ。
「しかもお前のおかげで、失敗してもなんとかなる目処もついたしな。安心して本番に挑むといいさ。一回で成功したらご褒美も用意してあるから期待しておけ」
「ハハッ、それは楽しみだな。それで?次は明日?」
ハアハア、お兄ちゃんの眼がギラギラしてる。まるで、獲物を狙う肉食動物みたいに。アタシのこともその眼で見て!
(輪名ちゃん大丈夫なのかな?さっきから百面相してるけど・・・)
(しっ、あれには、触れないほうがいいわ。なんだか面倒な気がする)
「そうだ。それと明日はその三人も一緒に行け。元々お前たち四人は個別に任務に当たらせるつもりだったが、斬新にチームを組ませてみようと思った。固定観念にとらわれてはいけないからな」
そう言って、パパはお兄ちゃんにウインクをした。
だ、だめだよ。お兄ちゃんはアタシのものだから!いくらパパでも許さないんだからね!
「ハッ、父さんには何でもお見通しなんだな」
「当然。何年生きてると思ってるんだ?」
「はっはっは」
「ふっふっふ」
「ふへへへへ」
(えりちゃん。私、次元家について行ける気がしないんだけど・・・・・・)
(大丈夫よ。あれはただの一面、普段は多分、おそらく、きっと正常なはずよ)
独特な空気を醸し出していたアタシたち家族に、二人が引いてたのに気づいたのはもう少し後のことだった。
鈴音「久しぶりに見たよ。次元家の闇」
廻理花「そう?最近は月一であんな感じになってたけど」
鈴音「私がいない間に何があったの・・・・・・」




