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転移者

「それで?縁君の仮説はわかったけど、それを司令に言うの?君の話を聞く限りじゃ、理解はされても納得はしてもらえないんじゃないのかな?根本的な解決はできないよね?」


 鈴音さんが少し挑戦的に聞いてくる。

 しかしその顔は、僕の返答に期待してるようにキラキラしていた。


 僕を試してるのか?・・・・・・だったら彼女のホレた男として落第点は取れないよね?

 なんちゃって。


「たしかに今話してもなんの解決にもならない。今はね」


「今は?じゃあいつ話すの?」


「僕は、この週末で合計5万年修行したことになる。そうしたら異世界の歪みを直すために世界渡りをする許可が出る。

 でも任務の条件は、その世界の希望に歪みを正さないといけない。そこで僕が新しい方法。つまり世界の希望にガンガン接触して歪みを正せば?」


「お父さん達も納得せざるを得ない」


「その通り」


 まあ本音は、


(そもそも折角の異世界転移なのに暗躍プレイ一択なんて楽しくない)


 だけどね。


「てか僕は新世代なんて呼び方にも納得してないんだ。反抗した兄さん達と一緒くたにされて気に入らない。この作戦が成功した暁には、こちらの名前を変えてやろう」


 さっきまで真面目に聞いていたみんなが漫画みたいにずっこけた。

 昭和かな?君たち・・・・・・


「えっ?そこにこだわってるの?」


「当たり前だ。新世代なんて名前じゃ意味わかんないだろ?」


「じゃあどんな名前にするの?」


「え?」


「「「え?考えてないの?」」」


 考えてなかった・・・・・・最初はまだキラキラが残ってた、みんなの瞳からだんだん色がなくなっていってる。

 これはまずい。非常にまずい。


「あ、うん考えてるよ。もちろんそりゃ考えてるとも」


「へー。じゃ教えてよ」


「へっ?うーん。放浪者とは違ってこれからの方針を考えると・・・・・・転移者ってのはどうかな?」



縁(うん、即興にしてはいい名前だ)

三人(やっぱり考えてなかったのか)

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