完璧な種族はいないけど完璧な個人は…
さっきも言ったけど放浪者同士の争いは、狩矢兄さんの反乱の一回だけ。それ以外は、放浪者の力を欲した権力者を、退けたぐらいだ。
人間の歴史と比べるとあまりにも戦いが少ない。
たった数千年しか生きてない人間ですら、数え切れないほど同じ人間と戦争をしているのに対して、放浪者の一回は、あまりにも少ない。
「そういえば確かにそうだわ。今でも戦争をしている人間に対して、こちらは狩矢さん率いる新世代の一度だけ・・・・・・少ないわ」
「そう。そこで僕の考えた仮説はこうだ。放浪者は自発的に一度決めたことや置かれている状況に疑問を持たない。そして新世代たちには人間的な思考を持つ革新的な、現状に反発する人が多い」
「人間と後が混ざって考え方が人間的になった?」
「ずばりその通り」
そもそも父さんがずっとリーダーでいられてる段階で疑うべきだったんだ。
僕だったらあんな上司がいたらストライキを起こしてる。
全員がイエスマンだったら進歩はない。
戦争を認めるわけじゃないけど、人間たちが争うのは正しい進化の結果なのかもしれない。
「でもでも、それだったらお父さんは?お父さんって結構変わった考え方で、ある意味人間的だよね?」
「認めたくないけどな。でも、だから今でもトップでいられるんじゃないのかな?『完璧な種族はいないけど完璧な個人はいる』前に父さんに言われたけど、その時はなんのことかわからなかった。でも今なら分かる。自分の種族の弱点さえ克服すれば完璧な個人になれるんだ。
でも、ああ見えて父さんも根っこには放浪者としての遺伝子があると思うよ。兄さんの気持ちもわからないみたいだし」
「司令も完璧じゃないってことね」
世界に干渉しないと決めた父さん達、それに疑問を持った兄さん姉さん達だけど、それに父さんは取り合わなかった。
だから武力で解決するってのは違うけど、考えてみると人間らしいといえばらしい。
狩矢兄さんは、他の道もあるってことをいいたかったのかもしれないな。
縁「完璧な種族はいないけど完璧な個人はいるか、新世代にはどんな弱点があるのかな?」
廻理花「アホな人が多いとか?」
縁「じゃあ僕は完璧な個人ってことだね」
三人「・・・・・・」
縁(なんだこの沈黙)




