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策に溺れる前の策士

 僕が組織に入ってちょうど二週間が経った。

 仕事内容は、放課後と土日の間にできた歪みの対処するだけで、直接異世界に行く冒険、もとい仕事はまだしてない。


 父さん曰く。


「お前が思ってるより世界の歪みを直すのは難しい。そうだな、五万年くらい修行したら考えてやるさ」


 言外に「お前にはまだ早い」ということだがさすがの縁さん。気にしない。


 僕は早く異世界に行きたいから、修行部屋で土日の間一日一万年修行した。

 だから、今週の土曜に五万年達成で晴れて日曜日に異世界へGOの予定だ。


 登下校のフリーランニングの効果もあって僕は身体強化なしでも相当な身体能力を、身に付けていた。


 本気でジャンプをすれば30メートル飛ぶことができ、100メートルを一瞬のうちに走り抜け、地面にパンチをすれば地割れができる。

 もはや身体強化抜きで人外の力を身に着けた。


 しかし冷静になって考えてみると自分でも天狗になってることが分かる。

 多分こんな気分のときに狩矢兄さん達は反乱を起こしたんじゃないのかな?


 しかしそこは流石というべきだろうか、父さん。過去の失敗を考慮して僕と模擬戦をした。


 結果惨敗。僕の強さが人外だとすると・・・・・・うん神だ。さすがイザナギ。どこのラスボスだよといいたいくらいの強さだ。

 僕が本気を出して戦ったというのに、父さんは少し呼吸を乱す程度だった。


 極めつけが、


「ほう、私の呼吸を乱させるか、中々強くなっ・・・・・・強いじゃないか」


 だ。くそっ父さんめ。僕の人生で言ってみたいセリフ7位の「僕の呼吸を乱させるか」をカッコよく言いやがって、しかもずいぶん余裕があった。


 まあ、この模擬戦でプライドをポキポキ折られて、僕の自分の力への過信は消え去った。

 父さんに対抗、または勝利するには今ひとつ決め手が足りない。


 具体的には純粋な物理パワーが足りない。

 スピードと器用さではギリ勝ってると思うんだけど、あのラスボスはそれを純粋なパワーで押しつぶしてくる。


 完全な脳筋タイプだけど、単純だからこそ小手先の技では力でねじ伏せられてしまう。

 圧倒的実力差のある脳筋がこんなにも恐ろしいなんて思ってもいなかったよ。


 決め手決め手・・・・・・そうだ!僕にはまだ一つ眠ってる力があるじゃないか。

 あ、別に中二発言してるわけではないよ?


 僕はまだ新世代としての能力があるじゃないか!

 放浪者ってのはある程度修行(具体的に言うと二万年くらい)を真面目にするとほとんど実力に差はなくなる。


 そこから物を言うのは、経験、勘、そして新世代の能力だ。

 前の二つでは絶対勝てないけど、僕の能力が覚醒したら父さんに勝てるかもしれない。


 フフフ、父さん待ってろよぉ。僕はまだまだ強くなるぞ。

 でもその時気づいてなかった。父さんは放浪者最強。それはこちら側の陣営の兄さん姉さんを含んでるってことに。


 力が覚醒しても父さんに勝てる可能性は高くない。

 しかしそれを知らない僕は不敵な笑みを浮かべていた。


 このときの笑みを廻理花は、「策に溺れる前の策士みたい」と言ってきた。


 失礼な。

憤怒「本体も中々育ってきたな。今なら親父に勝てるかもな」

父さん(いまなら朧に負けるかも)

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