一方その頃?
その場所は文字通り一寸先は闇の世界だった。
そんな場所にボゥと1人の男が浮かんできた。
不思議と暗闇の中でもその男の姿はくっきりと見えた。
その男は縁の姿をしていたが、目つきがとてつもなく悪かった。
「あーなかなか気持ちよかったぜぇ。しかしまさか一撃でやられるとはなぁ。これは本体の成長を待ってリベンジと洒落込むか」
そう行って男は首をゴキゴキと鳴らした。
男は縁の破壊衝動と怒りの感情で作られた人格の1人で、縁の父親にワンパンキルされて強制返還されたのだった。そう朧だ。
長い間外に出れず退屈だった彼にとって久々の外は非常に開放感があり、縁の父にすぐに強制送還されてしまったが十分に満足できる結果となったらしい。
「全く、憤怒は喋り過ぎだよ。これだからぼっちは・・・・・・第一あの喋り方はなんだ?あんな喋りはただと縁の人格である我々全員が君のような粗暴でがさつでアホな人格だと思われてしまうだろう」
ここでは朧のことは憤怒と呼ばれてるらしい。
朧を憤怒と呼んだ男も容姿は縁だったが服装が少々違っていた。
憤怒は縁の学校の制服を着崩していてヤンキー感があるが、彼はぴしっと制服を着ていて、ふちの太い眼鏡を掛けていて所謂優等生風の縁だった。
「あ?誰だ?なんだ几帳面か。ぼっちゆうなや。久々の肉体だったからうまく口が動かなかったんだよ。それにホントのことはいってないぜ?」
「当たらずとも遠からずってくらいの嘘だけどね。そもそも彼らに嘘を言う必要はないだろう!まったく、なぜ君は外に出る勝負のときに必ず勝つんだ。普段なら互角なのに」
愚痴を言うように、几帳面はそう言った。
(そう言われてもなぁ。本体が俺をコントロールできないと暴走しちまうんだがなぁ・・・・・・)
これでも憤怒は暴走しないように必死に抵抗していたほうなのだ。
ほんとに暴走していたのなら、三人娘の首が飛んでただろう。
しかしそのことを口に出せないのが憤怒の悲しい性で、その性格のせいで彼のぼっち道は極まってゆくのだった。
「仕方ないよ。僕たちが外に出られるときの感情は憤怒が有利なんだからさ」
「そうそうそうそう。他の悪感情たちは空っぽだから勝負に参加しないし。ねぇ、たいだ?」
「だりぃ、ねみぃ」
そう言って今度は、三人の縁が出てきた。
最初に声を掛けてきた縁は、純白のコートを着ていて周りがなぜかキラキラしている。
さながら白馬の王子様風の縁だった。
二人目の縁は少々異色だった。なぜならばどう観ても小学生ほどのサイズで謎の可愛いオーラが漂っている。
そんなショタ縁に怠惰と呼ばれた縁はジャージ姿でうつらうつらと頭が船を漕いでいた。
縁「僕の出番は?」
人格ズ「「「「お前の中なんだから仕方ない」」」」