父さん無双
「あぁ?親父かぁ?コイツラに余計なことしたのもてめぇかぁ」
驚いたな。まさか新人三人娘が全く歯が立たないとは・・・なんの為隠れて付いてきてよかった。私が防御魔法を使わなかったら三人の命は無かっただろう。文字通り吹っ飛んでただろうな。
縁の新世代としての能力については十年前の事件も踏まえて、ある程度は予想してたがここまで強くなるとは思ってなかった。
まあ、私が勝てないほどではないがな。
人格変化、少し引っかかるな。かまをかけてみるか。
「おい、お前、本人か?」
「・・・・・・気づいてたのか」
「朧・・・・・・」
やはり本人か。だが朧は先の大戦で死んだはず。
「なぜ私に殺されたお前が弟の縁の能力の中にいる?」
「話す義理はねえなぁ。強いて言うならあんたに復讐するために地獄から戻ってきたってことさぁ!」
そう言って朧は向かってきた。しかし面倒だな。一応体は縁のものだから傷つけるわけにもいかないし。朧の強さが昔のままだとしたら止められるのは狩谷か私くらいなものだ。
「なっ!クソッ、なんで俺の攻撃が全て片手で捌かれてんだよ!今の俺はこいつのパワーも乗せてるから最強のはずだ。どんなやつにも負けないのに⁉」
「つけあがるな若造!そのおごりがお前が死んだ理由だということをなぜ理解しようとしない!」
おっと私としたことが、柄にもなく熱くなってしまった。本意でなかったとはいえ自分の息子を手にかけたことは私も辛かったが、今は再び出会えた喜びよりも朧が相変わらずあまりにも愚かで怒りのほうが湧いてくる。
まったく、この程度で最強などと笑わせてくれる。
「さてと、もう終わらせよう。縁の中で反省するが良い」
「なんだと!・・・・・・グハァ」
朧の腹を殴って気絶させた。DVではないぞ。教育的指導だ・・・・・・違うか。
倒れた朧の周りのマナはもとの正常な色に戻っていた。もう大丈夫だろう。縁に戻っている。
暴走したら意識を奪う必要があるのか。今回は縁の能力を見極めるためにわざと暴走させたが、今度からは暴走させないように気をつけよう。一々止めるのも面倒だ。
とりあえず身体強化の練習は終わりにさせよう。
私はこれからの縁の変更した訓練メニューを鈴音のポケットに入れてその場を去った。
「う、ううん・・・・・・あれ?」
僕は何をしていたんだ?確か等さんの手紙を見てブチ切れて・・・・・・あれ?なんで崖が無くなってるんだ?岩場が出来上がってるもうここは岩石エリアだな。
周りには鈴音さん達が倒れていた。僕が意識を失ってる間に何があったんだ?
だめだ、まだ頭が働かない。
とりあえず三人の目が覚めるまで待つか。




