表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/132

憤怒

 SIDE輪名

 アハハハハハ。何度も何度も落ちるお兄ちゃん・・・・・・イイ!


 ちなみに廻理花姉と鈴音姉は本気で手を抜いてる。仕方ないから妨害はアタシが全部してるwww。

 そしたらお兄ちゃんったら崖を殴って階段を作り始めたんだよ。


 上の方まで来たらローションを流そうと待ってたらいつの間にかお兄ちゃんは崖の中に居て、後少しで頂上だった時は焦ったなー。え?なんで気づいたかって?フフフのフ、アタシのお兄ちゃんレーダーに狂いなし!


 そんなわけで、少し焦りながらお兄ちゃんの穴までドリルをほったんだ。ローションを流す時、手伝ってもらった廻理花姉のポケットから紙が落ちてった。本人は気づいてなかったけど。


 しばらくしてお兄ちゃんが自分の作った洞窟から転がり出て階段でお尻をぶつけながら落ちていった。か、可愛い!可愛すぎるよお兄ちゃん。


 あれ?お兄ちゃんの様子が変。流石に心が折れちゃったかな?もしそうなら今すぐ抱きしめてあげたい。それからこう言うんだ


「大丈夫お兄ちゃん?」


「輪名、もう嫌だよ。辛いよ。苦しいよ。もう限界だよ」


「大丈夫、お兄ちゃんにはアタシがいる。お兄ちゃんが大変な時、ううん、お兄ちゃんはどんなときでもアタシに頼れば良いんだよ。アタシが何でもしてあげるから」


「・・・・・・ああ、僕もう輪名に全て任せる。僕はずっと家でダラダラゴロゴロしてるけどそれでいい?」


「良いよ。お兄ちゃんはダラダラゴロゴロしてればいいよ」


 こうしてお兄ちゃんをダメ人間に改造していくんだ。うへへ、そんなお兄ちゃんだったらアタシ結婚しても良い。

 そんな妄想してたら突然地面が揺れた。




 SIDE鈴音

 鈴音です。私達に任された仕事は、さっきから縁君が必死になって崖を登ってきているのを邪魔することです。


 ですが縁君が落ちるのはとても心苦しいです。えりちゃんも同じ気持ちなのか妨害する手が心無しかゆるく見えます。輪名ちゃんは対象的に容赦なく縁くんを落としています。なんだか楽しそうに見えるけど気のせいだと思います。


 あーあー、縁君がローション塗れで落ちてしまいました。落とした本人はなぜか恍惚とした表情で遠くを見てます。どうしたんでしょうか?


 そんなことを考えていたら急に悪寒がしました。非常に嫌な予感がします。


 すると崖が揺れてきました。この揺れ方・・・もしかして縁君が何かをしているのでしょうか。さっき縁君が階段を作ってたときの揺れに似てるけどそれよりも強い衝撃です。


「なっ、何これ!?どうなってるの!?」


 エリちゃんが揺れに耐えきれなくなって地面に両手を付いて叫んでます。私もこの揺れには耐えきれません。もしかして縁君はこの崖を壊すつもりなのでしょうか・・・・・・それとも・・・・・・


「ちょっと、この崖大丈夫なの!?なんかミシミシ聞こえるんだけど!?」


「流石お兄ちゃんでもそこまでの力はないはずって言いたいけど、このままだと危ないかも・・・・・・」


 輪名ちゃんが言い切る前に地面に亀裂が走り直後、崖が崩れ始めました。


「二人共このままじゃ崖が崩れるわ!身体強化を使って飛び降りるよ!」


 そういって私達は飛び降りました。

 着地する直前に風魔法で着地の衝撃を吸収して上手く降りたすぐ後に崖が崩れました。


「ハァハァ、二人共大丈夫?」


「「なんとか」」


 よかった。とりあえず全員無事みたい。


「一体どういうこと⁉何をどうしたら崖が崩れるわけ⁉」


「司令が言ってた。縁君の新世代としての能力には気をつけろって」


「能力ってどんなやつなの鈴音姉?」


「司令の予測だと憤怒。強大な新世代の能力の中でも段違いに強い効果を持つ七つの能力、通称七大罪シリーズ。その一つが憤怒。具体的な能力はある条件下で能力数十倍に膨れ上がる。その代わり憤怒が発動してる間、縁君は凶暴になって敵味方区別なく攻撃してくるらしいわ」


「何そのピーキーな能力・・・・・・」


「ある条件下ってなんなの?」


「極度の怒り、憎しみ、不安。そんなマイナスの感情が爆発したときに発動するって言ってた」


「じゃあ縁が暴走してる理由って私達の妨害が原因ってわけ!?」


「多分そうだと思う。・・・・・・もしかして司令はこうなることが分かって縁君の修行を厳しくした?」


 一体何のために?縁君の暴走は狙ってた?それとも偶然?そもそもこの場所になぜ私たちしかいないの?司令だってここに来れたはずなのに。


 私の頭の中で疑問が溢れかえっていた。そんな中、崩れた崖から立ちこめる砂埃の中から声が聞こえた。


「おーいおぉぃ。ずいぶん楽しそうに話してるじゃあねえかぁ。俺も混ぜてくれよぉ」


 そう言って出てきたのは、普段とは明らかに違う残忍な笑みを浮かべる縁君だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ