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落ちた僕、廻理花の想い

 一時間後

 ハァハァ、そろそろ身体強化を使うか?


 僕は一時間で二百メートルくらいのところまで来た。ロッククライミングについては、あまり知らないからこれが速いのか遅いのか分からないけど、これだけ登ってもまだ頂上は見えない。


「身体強化!」


 ウッハァ!体が軽くなったぞ。今までの疲れが嘘のようだ。


「よしっ、まだまだ行ける!」


 僕は登るというより跳ねるように、崖を登り始めた。


 五分後

 ハッハッハー!身体強化様様だな。たった五分で半分くらいまで崖を登ったぞ。少しだけど頂上も見えてきている。マジでさっきの一時間なんなんだよって感じだな。


 まだまだ集中力は続きそうだし余裕余裕。第一の試練破れたりハハハハハ。

 そんな感じで順調に登っていると突然影が差してきた。


 ・・・・・・・・・えーーーっと。岩?うわーたくさんあるなー。避けられないよ。マジで。


 岩にあたって僕は真っ逆さまに落ちていった。



 SIDE廻理花

 私達三人は、縁が、崖を半分くらい登ってきたから岩を落とした。

 元々第一の試練にそんなギミックはないけど仕方ない。だってこれも司令の指示だもん。


 正直そんなことしたら縁が死んでしまうと思った。私達でさえこの崖を登るのは一苦労だったんだから。


 それは縁も同じだった。一時間かけてやっと二百メートルしか登れてなかった。でもそこからの縁は先程とは、段違いの速さで崖を登り初めてあっという間に崖の半分まで来てしまった。そこで初めて私は縁が今まで、身体強化を使ってないことに気づいた。


 もう縁の身体強化は私と同等、いいえ、それ以上の高みまで至っていると見ていいわ。

 流石、私の初恋の人なだけあるわね。


 いきなりぶっこんで驚いた?ええ、そう。私は縁が好きだった。でもこの思いは封印したの・・・・・・多分。  


 あれは小学校の頃、私はいじめられてた。縁は自分の容姿は平凡だと、ことあるごとに言ってるけど十分イケメンに入るくらいかっこいい。その縁といつもくっついてる私が目障りだと、所謂カースト上位の女子のグループにいじめられた。


 ある時いじめられてるところを縁が偶然見つけてくれた。翌日から私をいじめた子たちは学校に来なくなった。


 あとから聞くと縁が司令に相談(チクリ)をしたらしく、司令が動いてくれていじめてた子達を転校させたらしい。


 どんな手段を使ったのかは分からないけど、今になって思えば放浪者の組織の力だったのだろう。


 まあ、そんなこともあって私を助けてくれた縁が白馬の王子様の見えた小学生の私は恋に落ちた。


 でも縁には鈴音がいる。二人の間に私が入ると三人の関係が壊れてしまう。それだけは防がないといけない。


 私は悩んだ。どうすればうまく行くか、私は閃いた。

(そうよ。縁が私のことを好きになればいいのよ)と。


 この思いつきは、ある意味最も二人を裏切る答えだったけど、あの頃の私はそんなこと考えてられなかった。


 早速ギャップ萌なる技を美麗さん(縁のお母さん)に教えてもらって中学校からそれを実践してみた。


 結果は失敗だった。他の男子はなんか知らんけど、私のファンクラブを設立するほど心酔してるのに、縁は奇妙なものでも見るかのように見てきた後、避けられるようになった。


 意味がわからない。美麗さんに聞くと。


「それはね、縁が、エリちゃんの本当の魅力に気づいてないの。実際他の子はエリちゃんにメロメロでしょう?だったら縁だけがあなたのことを嫌いだなんてことはないわ。だから大丈夫、今は急に変わったあなたに驚いてるだけ。1つアドバイスするならもっとボディタッチを増やしなさい。例えばさり気なく挨拶と一緒に背中を叩くとかかしら。そうすれば徐々に縁もあなたのことを意識し始めるでしょうね」


 その後、キャーーー青春ね!って言ってた。

 美麗さんは、あの堅物司令(縁のお父さん)を一目惚れさせるほどの恋愛マスターだと私は信じてた。今日司令の話を聞くまでは・・・


 そんな感じでアピールし続けるも縁はかまってくれずに高校生になった。そこで事件が起きた。


 バカ共(ファンクラブ)が私が縁のことが気になってるという情報をどこからか受けて、迷惑(粛清)をかけたらしい。


 その日から縁は、露骨に私のことを避けるようになった。もちろんバカ共は粛清(迷惑)しておいた。


 そんな最悪のタイミングで、追い打ちのように鈴音が戻ってきた。鈴音は私じゃあ歯が立たないくらい美人になっていた。


 私は二人を裏切った天罰が下ったって思った。でも縁は鈴音を忘れさせられてた。私は二人がすぐに付き合い出すと思ってたから少し安心してしまった。


 だから決めたの。縁に鈴音ことを思い出させる。そしてそこから私は自分の思いを告げて、正々堂々と鈴音と戦うんだって。

 もう二人を裏切るようなことはしない。


 絶対に。

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