裏で色々やってました
キリャクが現れて、子供たちは助かったというふうに顔を輝かせた。
やっぱり僕じゃ頼りなかったかい?
「ブータ殿、この事は御父上に報告させてもらいます。それなりの覚悟をしておいてください」
「ひ、ひぇーーー」
腰が抜けてるので四つん這いで逃げていった。
豚と完全に一致だ。
「君もそれを収めてください」
そう言われても引っ込めないよ。
「飛んでって!銀河の果てまでー」
ピューンと火球は、空の彼方へ急上昇していった。
続いて沈黙。やらかしてしまった……
「こ、こほん。やり方はともかく子供たちを助けてくれてありがとうございました。やり方ともかく」
「いやいやー。それほどの事でもあるよ。もっと感謝して」
そう言うと子供たちとシスターが。
「こっちが本性だったのか……」
「なんだろう、素直にお礼を言えない私がいる」
「エニシさん……」
今までが好青年モードだっただけに、少しはっちゃけただけでこの評価か……ぐっ、なかなか来るものがある。
「キリャク先生。この方は」
「分かってます。進軍中も帰還中も彼の噂で持ちきりでしたから。特に戦闘中」
やべぇ。ここに来るまで色々やってたけど、来てからも色々やってたからなぁ。
「もしかして私たちに魔法を教えてくださったことですか?」
「それは一番小さい事件ですね。ある町では伝染病を数時間で完治させ、ある村では十人の村娘の生贄を要求する大型魔獣を一刀両断し、ある国では呪われた姫の呪いを触れただけで解いてしまう。その他多数に加え、君、僕の戦場にまで手を出しましたね?」
「ヒューヒュヒュー」
「兄貴、とぼけれてないよ」
すこーし旅行気分でいろいろ見て回ったら事件ばっかり起こるんだもん!
困った人がいたら助けるでしょうが!
「戦場の件については、手助けしたら早く帰って来てくれるかなーって」
「助かりましたが大混乱ですよ!流星群みたいなのが落ちてくるし、やられたと思った兵がまたたく間に復活するし、ありがた迷惑とはこのことです!」
頭を抱えてそう叫ぶキリャク。しかし顔を上げたときにはもとの気だる気な表情だった。
「まあしかし、助かったのは事実です。それに子どもたちも素晴らしい知識を授けてもらったようです。それに関してはありがとうございますと素直に礼を言っておきましょう」
頭を下げるキリャクから光の玉が出てきて僕に近づき、そのまま体の中に入ってきた。
え?世界の意志?チョロくねっすかキリャクさん。