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潜入、魔王城

 魔王城、それは勇者の最後の敵である魔王の居城であり、何故か強力な武器が廊下に落ちてたり、強力なモンスターが跋扈している超危険地帯だが、魔族は現在全員帰郷しているため城はガランとしていた。


 そのおかげで僕たちは魔王の間の扉の前までスイスイと行くことができた。


「この扉の向こうに魔王がいるよ」


「一瞬で魔王城に来て小一時間。早かったな。確か魔王城を人間が歩くためには聖なる火種でできた松明が必要だと聞いたんだが……」


「あ、この松明がそれな」


「⁉」


 旅の行程をすっ飛ばしているからバルスが手に入れるはずだったアイテムは、あらかじめ回収しておいた。

 僕はアイテム群の中から一本の鍵を取り出してバルスに差し出した。


「これは?」


「扉の鍵」


「何でもありか!その鍵は暗黒宰相ゼルニーズが持ってるはずだぞ!」


 もしかして城に最後まで残ってた神経質そうなお兄さんが宰相だったのかな?この鍵は彼からもらったんだけど。

 おっさんの居なくなったあとは、魔族の代表として人間と和平交渉するって言ってたっけ。


 とりあえずこの段階で世界の崩壊度が進んでなければ僕の仮説どおりなんだけど。


(どうかな?鈴音さん)


(変化なしよ。むしろ崩壊度が下がってるわ)


 となると残りの数%はラルファか。気をつけてみておこう。


「エニシ、お前一体何者なんだ?女神のお告げではお前に関して何もなかったぞ?」


 僕はこの世界の人間じゃないからね。世界を渡る能力のないこの世界の女神様には、お告げに僕のことを言うなんて無理な話だよ。

 多分女神もパニックだろう。


「うーん。僕は僕だとしか言えないよ。臭いことを言うなら通りすがりのおせっかいさ」


「おせっかいねー。お前やスズネは邪気は無いけど不思議な気を持ってるんだよなあ」


「気?」


 初耳なんだけどそれ。


「なんとなくだけど分かるんだよ。勇者としての力なのか、商人としての人を見る目なのかはわからないけど。そいつがいいやつか悪いやつかくらいだけどな」


 不思議な気を持ってるってのは僕たちが異世界人だからだろうか。通りで前の世界のバルスが簡単に僕を信用するわけだ。


「そんな事はどうでもいい。俺の魔剣が血を求めている」


「再発か?エニシ、治してくれ」


「このままでもいいんじゃないかな?」


「……」


「……」


「……行くか」


 皆気丈に振る舞おうとしているけどやっぱり最終決戦を前にして緊張が押さえられないようだ。

 ここは有能な縁君が一発かましてあげますか。


「『モードバーン』」


 これは一時的にだけど勇気が湧いてくる魔法。これを使えば気になるあの子に思いを伝えることも簡単に。


(なら自分にかけて鈴音に告白すればいいじゃねえか)


 ……運命とは、自分の手で切り開くものだ。


(ただのヘタレだろ)


 そんな事はどうでもいい!見ろ!あのバルスたちの堂々とした態度を!


「よっしゃー!皆、勝つぞ!」


「「「おう!」」」


 バルスたちは勢いよく扉を蹴破った。

 鍵渡した意味!

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