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72 誰だ今正体見破ったやつ!?

 毎話毎話この話の前半みたいにはっちゃけた感じで書きたいんですけどね~。うまくいかない・・・。

 「血が、足りねぇ・・・」

 「自業自得でしょうが」


 屍アントビーの背の上であお向けになりながらごちると、辛辣な言葉が返って来る。


 「そうは言ってもさぁ、【血液支配】使わないと勝てなさそうだったし、【隠密】とか【逸在】を付与できなくても勝てそうになかったし、そんなんだったら自分の血でやるしかないじゃん」

 「はいはい。御託はいいからさっさと行くわよ。あのアントビーは殺せたわけじゃないんだからね?」


 パルの言う通りつい先ほど地に落ちて行ったアントビーたちは死んだわけではない。あくまで羽を使いものにできなくして、一時的に飛べないようにしただけだ。


 本当に【飛行】のスキルのある意味とは何なのだろう。補助か?それとも馬鹿か。使えなかったとしても【再生】の効果で時間が経てば復活するので、早々にとどめをさすか、さっさと逃げる必要がある。

別に逃げないで殺せばよくないかと思うかもしれないが、思い出してみて欲しい三十層のミミックを。あんなしぶといやつを一体一体倒していたらその間に他のアントビーが【再生】し終わっちゃうじゃん。


だからすぐに逃げなければいけないんだけど、先の戦いで自らの血を使い過ぎて貧血で意識が飛びそうになっているというわけだ。


「それこそ【再生】でどうにかなんないの?」

『【再生】は傷口をふさいだり折れた骨を直したりする事ができるスキルですよ。ただマスターの種族特性として回復力が高いので、溶けたりしても時間が経てば治す事ができるというだけなので、血液の増加は望めませんよ』


と言う事らしい。【再生】で回復できるんだったらこんな状態になんてなってないわ。


『まぁ、マスターの事ですし何とかなるでしょう。それに漂うことは出来るんですし、移動させる事も出来ますよね!』

【鑑定】(かんていさん)は鬼」


これ以上俺に働けと?いや、やるけどさ。この状態のままアントビーに囲まれるのは割とシャレになんないからやるけどさ。もうちょっと労うなりしてくれても良いんじゃない?


「そう言えば【血液支配】とか使ってよかったの?」


今は俺らだけではなく、チゼルたち他の冒険者と行動している。【血液支配】や他の【空間魔法】など使ってばれても良いのかという事だろう。


「その心配はない。皆もう巣の中だからな、あの形の巣の中なら真下しか見えないだろう」


真下で使ったスキルは【毒霧】だが、これだけなら【毒魔法】と言い切ればいい。


屍アントビーを操作し、皆を送った巣の穴に入る。するとなんか声が聞こえてきた。


「チゼル!多分もうすぐユウナギが来るだろうから頑張れ!」

「諦めたらダメよ!」

「すまねぇ、俺は・・・もう・・・」

「チゼルゥゥゥ!!」


なんか茶番やってた。チゼルが穴の壁にしがみついていて、他はその上の一応地面と呼んでいいくらいの水平な場所から顔を覗き込んでいる。チゼルから床まではざっと三メートルと言ったところか。


「なにしてんの?」

「うわっユウナギ!良かった早く・・・って何に乗ってるんだ!?」

「アントビーだぞ。そうか、もう頭が逝ってしまったか」


俺が来たことによって一瞬嬉しそうな声をあげたが、俺の乗り物に目を向けて目を剝く。俺は俺で仲間のあまりの頭の逝きように少し虚しそうな目を向ける。上の方から「いや、アントビーにそんな紅い筋なんてない」って聞こえるけどそこは無視で。


「いや、それはどうでもいい!早く助けてくれ!」


どうやら見た目によらず結構切羽詰まっているらしい。それの答えは勿論・・・


「うん。いいよ」


咲き誇る嬉しさの花。チゼルが「やっぱ仲間は助けあってこそだよな」とか言ってるがそれも無視して作業に入る。次の瞬間チゼルの顔が固まる。


「あの、ユウナギさん?」

「ん?どうしたいきなり」

「なにゆえ、俺の小指を壁からはがしたのでしょう?」


そう、俺はチゼルの指を壁からはがしていっているのだ。壁から指が離れたらどうなるか、勿論落ちる。五十メートルくらい上空から。


「なにゆえって、おかしなやつだな。お前が助けてくれって言ったんじゃねぇか」

「その行動と助けてが一致していないぞ!?」

「待ってろよ~。今、楽にしてやるからな~」


薬指ぽいっ


「待っ、止めてくれ!助けなくていいから、今すぐやめてくれぇぇ!」

「大丈夫だ。友達をほおっておくなんてことは俺はしない。だから安心しろ」


中指ぽいっ


「待て、全然安心できないぞ!」

「いや~オレってすごい友達思いだな~」


人差し指ぽいっ


「よし、あとは右手だけだな」

「ユウナギが悪魔になったぁぁぁ!!」

「ひどいっこんなにチゼルのために尽くしているのにっ(棒)」


小指ぽいっ


「悪魔だ」

「いや、鬼じゃね」


誰だ今正体見破ったやつ!?


薬指ぽいっ


チゼルの悲鳴が木霊する。


「少しの間だけでも身代わりが出来て良かったと思うわ」

『パルちゃんに悪戯するときはもうちょっと優しいですよ』


中指ぽいっ


「それにしても・・・人差し指だけで体支えるとか化け物かお前」

「ちょっ、まっ後で何でもする。だからもうやめ――」

「ヤ☆ダ」


人差し指ぽいっ


「アアア″ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァ!!!」


最後にひときわ大きなチゼルの悲鳴が上がる。が、それはだんだん小さくなっていく事はなく、発信源もすぐそこ。


「アアア・・・あれ?」


チゼルもその事にやっと気が付いたのかそんな某けた声を出す。


「床?」


チゼルの足元には赤黒い足場ができていた。勿論、血がにじんだ糸――もう面倒くさいから略すが――血糸を屍アントビーの体から出して【血液支配】で固めたものだ。


「ユウナギ、最初から言ってくれよ」

「だから最初から楽にしてやると言ってただろうが。それにチゼルが落ちそうだったのにオルクスたちは慌てる様子がなかっただろう?そこで気づけバカ」

「知るか!自分の事で頭いっぱいいっぱいだったんだ!ってか分かりづらいぞ!?」


チゼルの戯言(たわごと)はスルースキルで無視する。


チゼルの足元から血糸をほどいて先のように梯子(はしご)を作り、チゼルを促す。チゼルは何か文句があるようだったが、割とすんなり動いてくれた。

足場を徐々に削って言ったのが功を奏したみたいで何より。


「なぁユウナギ、何故一人で戦うようなことをした?」


オルクスたちのところに行くと早々にオルクスに説教をくらいました。そうは言ってもあの状態で一人になったら逃げるなんてことができるはずないじゃないですか。逃げに徹するだけじゃ殺される未来しか思い浮かばん。

と言うわけで、話全てを右から左に流す。


「うん、ゴメン。よしさっさと攻略といこうかー!」

「・・・本当に反省しているのかな」


してないです。ハイ。


「それよりオルクス、後ろ危ないよ?」

「は?」


オルクスが間抜けな声を出す。それもそうか。何せオルクスの後ろは壁。危ないも何も安全な場所であるのだ。相手が普通なら。


刹那、ドゴンッと音を響かせてオルクスの顔面から数センチ離れたところが爆ぜる。出て来たのはランスのような巨大な針。


オルクスの額に汗がつぅーとつたう。無理もない。あともうちょっとで砕けていたのは自分の頭だったのだ。


【アシュタロス】の“迷宮破壊”があるんだから安全なわけないんだよ。


「ほらねっ」

「ほらねっじゃない!もうちょっと詳しく教えてくれてもよかったじゃないか!」

「いや、時間なかったじゃん?」


軽愚痴を叩きながらも戦闘準備をする。前回とは違い、地上――じゃなくて陸地(?)どっちでもいいけど、地に足ついて戦闘ができるわけだから先より随分楽にできるだろう。


穴からはやはりアントビーが出て来た。先のとは違う容姿の。


『はいはい、言われなくてもやりますよ

結果:名前 無し

   種族 アントビー・ワーカー:魔物、蜂、蟻

   ランク D⁺

   スキル

    エクストラ

     【巨大化】

    ノーマル

     【毒霧】【再生】【放出】【側面移動】【拳術】【生命感知】【堅固】【外殻】【アシュタロス】

    固有

     【巣造】【毒針】【穴掘】

   称号 なし』


 本当にワーカーかお前?そう思っても仕方ないじゃんか。前腕二本が槍、というより少しの螺旋が混じっているのでドリルを思わせるようなものに発達している。地面とか削るためのものなんだろうけど、どう見ても殺戮道具にしか見えない。


 ダッと言う音と共に何かが駆け出した。


 皆よりいち早く抜刀した怒りさんだ。怒りさんの獲物は大剣、その一撃の威力はまさに一撃必殺。その分動作はいやが追うにも遅くなってしまうが、その為皆より早く動いたという事だろう。


 「ちっ」


 だが、縦に振り落とされた大剣は、空を切る。ワーカーが危険を感じたようで俊敏さを持って避けたのだ。隙が多くなってしまう大剣はやはり簡単に避けられてしまう。チームとの連携が大切なのだろうな、とか人ごとのように言ってみたり。


 「ラアアァァッ!」

 「ふんっ」


 アルと筋肉だるまが回避後のワーカーに肉薄する。アルの槍がワーカーを貫かんと突きを出し、筋肉だるまの戦斧が首を狩らんと勢い良く振りかぶられる。

 ワーカーは臆した様子もなく槍を腕のドリルを使って逸らし、戦斧はそれで受け止める。見るとそのドリルは昆虫特有の外骨格を纏っており、戦斧が砕く事無く受け止められたのはそのおかげだろう。【堅固】も見るからに防御っぽいし。


 それでもアルも筋肉だるまも悔しそうな顔をすることなく、それどころか不敵にニカッと笑う。


 「シャオラアァァァッ!」


 ワーカーの後ろから怒りさんが出現する。大剣がワーカーの胴を狙い正確に振り下ろされる。アルと筋肉だるまの攻撃を防いだばかりのワーカーは対処する事ができず、なすすべなく両断される。


 俺なんもしてねぇじゃん。オルクスたちもだけど。オルクス、怒りさんたちの猛攻に巻き込まれないようにするので必死だったけど。オルクスの評価がだんだん下がってきてるんですけど。


 「こっからはパーティーで別れて行動するか。固まってたら戦いづれぇしな」


 なんか怒りさんの株がうなぎ上りしてるんですけど。


 ・・・もう滅茶苦茶

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