69 忘れてたわけじゃないよ?
なんか小説を読もうで他の作品を見てたらこの話文字数が少ない気が・・・・。いや、多くしようとはしてるんですよ?これから春休みなんでその間だけでもなんとかしたいものです。
どうやって中に入るのかとか疑問に思うものの、【空間把握】を発動させるためにメンバーからは離れてしまったので、取り敢えず歩調を早めて追いつく。
「なぁ、一応聞くけど、どうやって中に入るんだ?」
「「「「えっ?」」」」
何だろうこの不安感。言葉だけ聞いたら何でそんなことも分からないのと言っているような感じなのだけど、ニュアンスに違和感が・・・。
「お前じゃ何とかできないのか?」
もちろん分かるのだろうと思っての言葉だったのに、返ってきたオルクスの言葉はそれ。
「いや、何とかってオルクスたちは中に入る方法を知ってんじゃないのか?」
不安になっていく気持ちを押し殺して、冗談だよなと言わんばかりに再度問いかけるも、やはりオルクスたちもどうやって入るかはわかっていないようで、おいどうするんだと隣同士で話し合っている。
冷や汗が伝う。あれ?もしかしなくても詰みですか?
「待って、ナギ。よく考えたたら、それっておかしいわ」
あぁこれもうダメなやつだと、遠い目をしていたら、パルの言葉に希望を見出した。
「彼らはあの魔物のスキルの内容を知っていたじゃない?ここからじゃ【鑑定】出来るわけないから中に入ったことはあるはず!」
が、それもあっさり否定される。
「それはね、こちらに気が付いてアントビーたちが襲ってきたから、対処するついでに見たのよ」
この中で俺を抜かして唯一毒属性の適正を持つサリアが歯がゆそうに言う。
だが、パルが生半可に希望を持たせることを言うので、素直にあきらめる事ができなくなった俺は、なお疑問点を指摘する。
「あの巣が迷宮化していると分かったのは?壊そうとしない限りそんなことわかるわけないはず・・・」
「魔法ならあれくらいの距離は射程範囲だわ」
「あの巣自体が高い魔法耐性を持っている可能性は・・・?」
「アントビーは何もここだけにいるわけではなく、ダンジョンの外にも存在するわ。外のアントビーの巣はそんな能力持ってなかったし、魔法耐性が高くても限界はあるはず。ありったけの魔力を詰め込んだ精霊魔法で壊れないなら、それはもう、ダンジョン物質化していると言えなくない?」
それはもう、完璧に論破された。
「なぁ、本当にお前でも無理なのか?例えば精霊魔法とか」
こいつ信じらんねーわと言った顔をした怒りさんが確認と毒と代案を出してくるが毒属性で何をしろと?毒沼でも召喚して浮力で登るか?その前に溶けるわ。
因みに、怒りさんの名前はハーゼと言うらしいのだが、怒りさんの方が分かりやすいし、何より気に入っているので心の中では怒りさんと言う事にしている。
「あの魔道具は?」
「・・・・・・忘れてたわけじゃないよ?」
「「「「おいっ!」」」」
本当に忘れてたわけではないんだよ。なんかちょっと・・・別のものに気を取られていると視野が狭くなる事ってあるよね!
メンバーの全員がジト目を向けているけど無視だ無視。
早速糸をほどく。ただ、これだけでは壁にくっつくことはないので、忍者が壁を登るときに使うような道具の形になるように、糸を重ねて先端に三本の外側に反った爪を作る。
あとは“操作”で飛ばすだけ。三本の爪の付いた先端がピューンと頭上に飛んで行き、魔物がいない穴の中に入っていく。ここからは陰になって目で見えないため、【空間把握】による情報をもとに“操作”していく。
しばらくすると、先端が地面とほぼ平行な所に着いた。
【アシュタロス】と【掘土】を発動し、床にぶっ刺して固定。更に【血液支配】の“液化”“固化”“着色”を発動させ引っかかっているだけのように偽装をさせる。
その作業が終わったところで乱暴に糸を上下させて糸が外れないことを確認。
「よし。五十メートルくらいあるだろうけど腕力だけで登れるよね!」
「いや、待って。無理だから」
「魔法使いにそういうのを求めたらだめだと思う!」
「そうじゃなくても無理だから。体力持たないから」
無理だろうなと思いつつ冗談半分で言ったら、やはりと言うべきか反論が返ってきた。主に女性陣から。オルクスたちでさえ苦笑いしているからやっぱり無理だよね。俺?無理に決まってんじゃん。
「そうか?ここまで来たらやれるだろ」
「ただ登ればいいだけだし」
・・・怒りさんたちは常識を勉強した方がいいだろう。
糸を互い違いに、折っていって梯子みたいなのを作る事で何とか登れるようにした。
「うぅ、怖いよ」
「下を見たらダメ。下を見たらダメ」
それでも怖い事には変わらなかったようだが。まあ、体力的な問題は大分軽減されたであろう。
ついでに【空間短縮】によって登る距離も半分になっているので、そこまで時間はかからないように思えた。
それでも、自分たちの縄張りに入ってきた侵入者を見逃すわけはないので、簡単には行かなそうだが。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴゥ゛ゥ゛ゥ゛ゥゥ
何かを急速にこすり合わせたような音と共にそれはやってきた。
「っち。こんな時に」
「おいおい、前衛組は手がふさがるからまともに戦えねぇぞ」
アントビーたちが襲撃してきた。まあ、予想は出来た事だ。それとこんな時にとか言っているけれど、こんな時だから襲ってくるんだよ。
数は十四匹ほど。その巨体が全方位を囲んでおり、魔職以外は近接戦しかできないし、俺も糸は使っているので【血液支配】を使えない。そして、ただでさえ不利な状況なのに地の利はあちらにあると来た。
どないすんねん。そんな下手な関西弁が出るほど絶望的な状況。これは逃げることを一度、真剣に検討すべき。
「レティとマリアさん、あとサリアさんとユウナギは魔法で時間を稼いで!他はその四人を全力で守るように!倒すのではなく逃げることだけを考えて一歩でも早く進むんだ!」
どうやらオルクスも同じ考えの様で、メンバー全員に指揮を飛ばす。
因みにレティさんがオルクスのパーティーの魔法使いで、マリアさんが怒りさんのパーティーだ。
オルクスの指揮に皆表情を真剣なものに変える。女性陣もさっきの悲鳴はどうしたと言いたくなるほどだ。
その中で俺は武者震いを止めることもせず、詠唱をしてく。
【鑑定】が言うに、あいつらはそろいもそろってDランクだそうだ。俺が必死になって逃げた蛇と、【同一化】を使ってやっと倒せたミミックと同じランク。
だと言うのに、恐怖で震えるでもなく、逃げることを真っ先に考えるでもなく、撃ち落としてやったらさぞかし楽しいだろうと震えているなんて、無謀も良いところだなと自嘲気味に、されど本気の【毒弾】を作りながら考えるのだった。
67でオルクスがオルフィスになっていたので修正しました




