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綾音1 自分勝手の塊

皆さん二階堂綾音って覚えてますかね?

 ~二階堂 綾音目線~


 朝、窓から差し込むまばゆい光と廊下から聞こえる騒音で私の目は覚めた。


 檄を飛ばしているのだろうか?その声音には余裕がないようにも聞こえる。


 【生命感知】という一定の範囲の生命体の反応を感知できるスキルにその反応が出た。その後、しばらくして扉がノックされる。


 「はい」


 無反応でいる理由はないし、この騒ぎの原因なり教えてくれるかもしれないので当たり障りのない返事を返す。


 「国王様がすぐに集合するようにと」

 「分かりました。すぐに向かいます」


 どうやら国王様から話があるらしい。なんの用だろう?まだ強くなった感じはしないし、そろそろ魔王を倒しに行こうとかではないと思うけど・・・。


 私はそんなことを考えながら、少し縮んでしまった(・・・・・・・)体に訓練用の服を通していった。





 いつも通り、稽古場に集まると他のクラスメイトも来ていた。


 みんなすごくざわついている。確かにいつも集まる時はざわついてはいるんだけど、なんか鬼気迫っているような・・・。


 そのときいた近くの子が言った言葉で私もなぜみんながこんなにざわついているのか理解した。


 「霜月さん勇者の称号が無くなったらしいよ」

 「っえ!本当?じゃ、勇者がいなくなったわたし達はどうなるの?」

 「大丈夫だよ。勇者がいなくなったとしても強力なスキルを持っている私達なら少しは役立てると思うから、流石にハイさよならって事にはならないと思うよ」


 霜月さんの勇者の称号が消えた。

 成程確かにそれならこの騒ぎは納得できる。


 そう理解したとき、さっきまでより若干声が小さくなったように感じた。

 どうやら王様が来たようだ。


 見るとクラスメイトは一人を除いて皆来ていた。篠村君がいない。どういうことだと思ったが、それに構わず王様は話し始めた。


 「勇者方落ち着いてくだされ。皆が知っているように先日、シモツキ殿の称号【勇者】が消えた」


 クラスメイトの動揺がさらに増す。皆何となく知っていたようだが、いざその通りだと言われて噂で聞いた時以上の衝撃が襲ったのだろう。


 「静かに。確かにシモツキ殿の【勇者】は無くなったが、皆にはまだ【勇者の連れ】があるだろう?」


 言われてスキルカードを確認する。そこには確かに【勇者の連れ】という称号が記載されていた。


 「【勇者】と召喚された時その称号を獲得できるのだが、皆にはまだその称号が残っているだろう。普通なら【勇者】が消えた時点でその称号も消える。残っているというならこの中に新しく【勇者】の称号を獲得した者がいるはずじゃ」


 となると、新しい勇者が出てくるわけですね。出来れば訓練を怠けている者達じゃないのが嬉しいんですけど・・・。


 恐る恐ると言った感じに手が上がった。


 「おぉ、お主か!」


 手を挙げたのは男子のリーダー的存在、逢坂君。このクラスの誰もが勇者と言ったら思い浮かべる人。稽古も頑張っていて今では霜月さんの次に強いと言われるようになっていた。王様が嬉しそうなのも納得だろう


 「エリオス」

 「はっ。ではこれからは私は逢坂殿の相手となりましょう」


 これで一件落着と思ったら、まだ何かあるみたい。【生命感知】が急いで近づいてくる人の反応を捉えた。


 篠村君かとも思ったがやっぱり違った。衛兵さんだ。


 「た、大変ですっ!」


 扉を開けていきなりそう言う兵士を王様たちはじろりと睨む。


 「今は大切な話をしている。いきなり入ってきてそれは王に無礼だと思わんか?」


 エリオスさんが兵の元まで行ってそう口添えした。確かに話の腰を折るのは無礼かもしれない。


 「申し訳ありませんっ。ですがこれをご覧になっていただきたく・・・」

 「これは・・・はぁ」


 兵から紙を受け取り、それを見て頭を抱え込むエリオスさん。今度は王様の元まで行ってその紙を渡す。すると王様も苦虫を噛み潰したような顔をする。一体あれは何なんだろう?


 「これがシノムラ殿の部屋にあったそうだ」


 今度は逢坂君に渡された。それを一通り読んだ後、私たちの方まで持ってきてくれた。


 これで読める、と思って近くにいくがクラスメイトの体が大きくて(・・・・・・)内容が見えない。


 やっとの思いでクラスメイトの間をくぐっていって、その紙に書いてあるものを読む。そこに書いてあったものとは―――


 『シノムラ君も強くなったんでダンジョン行ってきまーす!軽―く五十層まで行くつもり。その後は王国まで帰らずにぶらり旅を続ける予定なので心配しないでね!あ、あと夜の警備体制もうちょっと厳しめにしといたほうがいいよー』


 自分勝手の塊みたいな人からの手紙がかかれていた。この文面からしてセフィさんであろうことが容易にわかる。


 皆の顔の変化は納得できた。そんな顔をしたくもなるような文面。こんな自己中の塊の相手をする篠村君はすごいなと感心までするほどだ。前の世界でもこの世界でも。


 見ると霜月さんは顔を真っ青にしている。おそらく緋月君との約束の件だろう。篠村君の面倒を見ると約束したのに目を離した隙に拉致されてた、みたいなものだろうから。


 ダンジョンは危険だけどSランクの人が付いていることだし五十層までなら命の危険はないとは思うけど、心配はぬぐえないだろうし。何たってあの人ですから、篠村君も大変な人に目をつかられたようですね。


 その後は結局うやむやになって各自稽古になった。


 私は稽古をしながら考える。篠村君みたいにここから出る方法を。今は問題なくやっているが、そのうち緋月君みたいに捕まるかもしれない。このあと何年何十年も牢屋で過ごすなんて嫌に決まっている。


 何たって私の種族も・・・人族ではないのだから。


最初は普通にモブにしようとしてたんですけどやめました。

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