54 夫婦漫才
あけましておめでとうございます。今年も何卒よろしくお願いします。
あのダンジョンマスターマジかよ。なんつうもん渡してんだよゴルァ!
「おいパル、あのストーカーホントは馬鹿なんじゃないのか?」
「馬鹿なんじゃないかしら」
『さんざん言いますねお二人さん。否定はしませんが』
因みに【アシュタロス】の効果で出来る自由権限は
【迷宮破壊】スキルによる迷宮を崩す能力が解放される。
と言うものだ。
わざわざダンジョン攻略に来てる奴にこんなもん渡すか普通?渡さねぇだろ。だからバカなんだよ。
取り敢えず使っては見るけどね。【掘土】。
スキルを発動してみたものの何も起こらない。
「まさかっ自分で掘れというのか!?」
「そうに決まってんじゃないの!?ストーカー野郎よりあんたの方がバカなんじゃない?」
今、一番言われたくない言葉ですよそれ。
「なぎばかなの?」
ソラさんは便乗しないでくれませんかね。純真無垢なソラさんに言われると俺死にたくなります。
「その言い方だと私が純真無垢じゃないみたいじゃない!」
はあだるい。取り敢えず手で掘ったら汚れるから、血でスコップでも作って掘りますか。
「また無視!?」
『夫婦漫才みたいですね』
「は、はぁぁぁ!?め、夫婦とかそそんな・・・」
「夫婦だって!・・・ご飯にする?お風呂にする?それともあ・た・し?」
「そ、そんなの貴方に決まって・・・ってそうじゃないでしょ!逆でしょ!?」
性別的には違うが、性格的には合っている・・・はず。
『その通りですよマスター。じゃ、ソラちゃんは娘さんですか?』
「一応言っとく。俺はハーレム推奨派だ」
「サイッテーのクズね!!」
あ、掘れた。
ストーカーが俺の事を完全に見ている事が分かったしさっさと攻略しましょうか。
そんな変態に監視されている日々なんて嫌なんだよ!
というわけで二十七層でたむろするのをやめて二十八層に登ります。
着いたー。
「よし戻ろう」
「攻略は!?」
え?攻略?何言ってんの?何処に道があるって言うんだよ?
二十八層、それは毒の沼がメインの階層だった。
あたり一面毒の海。これをどうやって攻略しろと?無理に決まってんだろ!一応所々足置きみたいな岩場が見えるけど、【空間把握】発動してみれば魔物だったし。
おかしいだろこんなんどうやって攻略せいっちゅうねん。
『【蝙蝠化】じゃダメなんですか?』
「・・・」
忘れてないから!忘れてたわけじゃないから!針山地獄のときもキングコブラのときも世話になった【蝙蝠化】をわ、忘れてるなんてことあるわけないでしょう!?
『(忘れてたんだ)』
「(わすれてたんだ)」
「つまり忘れてたって事よね」
『「(いった!)」』
「さてやりますかっと【蝙蝠化】」
「・・・」
都合悪くなったら無視に限りますね。
『へぇ忘れてたんだ~。頭の中空っぽだものね。ホント脳みそ入ってるのか不思議なくらい。でも、あなたが最初から持ってたスキルよね?それを忘れるなんて・・・っふ。いやね、忘れることが悪い事とは言わないわよ。でもね・・・ッウフフフフフフフ。バカでしょあんた。あーお腹痛い。アハハハハ』
やめて―。そんな事【念話】使って話さないで!普通に話してるんだったら意識はずせば聞こえなくなるけど、【念話】聞こえっぱなしだから。意識ずらせないぃぃ!
「今日はこのくらいにしておいてあげる」
パルが雑魚キャラの捨て台詞みたいなこと言ってるけど、全然捨て台詞じゃないし。ってか、その台詞本当の意味で使っている人初めて見たかも。
「さ、攻略するんでしょ?早く行きましょ」
で、沼の上を通ろうとした瞬間岩場・・・いや、魔物がこっちに顔を向けた。毒の沼で隠れて鑑定ができなかったが、こちらに顔を向けたことでできるようになった。
『ラ・ブシュード
ランク E
種族 魔物、魚類
スキル
ノーマル【遊泳】【放出】【擬態】
固有 【口吸】【身体拡張:口】
耐性 【毒無効】
称号 なし』
口が大きいていうか口そのものなんですけど。円状の筒、その外側に目が付いてる感じ。どうでもいいけどここに来て初めて見たことも聞いたこともないようなのが出てきたな。
てか【口吸】って。何?口を吸うの?キス魔かよ。
観察してたらなんか口が一段と大きくなった。【身体拡張:口】の効果かな。
それ何か意味あんの?とか思ってたら風の向きが変わった。なんとなくそう思うと同時に吸い込まれるような感覚。
あれ?やばい?
アレの口の中に毒やら空気やらが吸い込まれていく。のが感覚的にわかる。てか毒はまんま見えてる。
取り敢えず人型に戻ったら重さ的に吸い込まれるの回避できないかな?
『そしたら重さ的に毒の沼にぼちゃんね』
「なにさらっと俺の中逃げてんの?!」
『私みたいな体重の軽い女の子が吸い込まれないわけないじゃない。だったらあんたの中に入って適当にくつろいでたほうがいいじゃない?』
ひでぇ。俺に全部丸投げしやがった。
抵抗はしていたがもう少しで吸い込まれそうなところまで来た。
ヤバいヤバいヤバい。取り敢えず魔法お願いしていいですか?パルさん?
『分かったわよ。――【毒槍】』
空きっぱなしの口の中に【毒槍】が飛んで行く。【毒槍】を拒むことなく口の中に吸い込む。すると、風が止み、ラ・ブシュードが毒の沼に浮かぶ。
良かった。乗り切った。後は気づかれないように【逸在】で隠れながら・・・。
何かがうごめいく。うごめくというのはその数が多いから。そう、多くのラ・ブシュードが浮かび上がる。
逃がしてくれませんか?そうですか。そりゃあ、あんだけドンパチしていれば怒りますよね。
最悪死ぬかな俺。
『協力するから頑張って!今あんたが死んだら私も死ぬじゃん』
「やっぱひでぇ」
パルが辛辣すぎる!
『・・・それを抜きにしても死んでほしくないけど』
そのときパルの発した言葉はラ・ブシュードの吸引の音で聞こえなかった。
ゴロが悪かったので
【ダンジョン破壊】
→【迷宮破壊】に変更します




