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53 チョットマテェェェェ!!!!!

 こんにちは。いきなりで悪いけど、二十六層で蜂を確保しまくってたら冒険者来ちまった。


 いや、別に来るのはいいんだよ。普通に魔物倒してるんだったら。でもね、今俺実験中。そんでもって実験してる間に狙われたら集中できないから蜘蛛の巣よろしく糸張ってるわけですよ。そんなところ見たら・・・


 「蜘蛛の魔物だ!」

 「魔物と魔物が戦っているというの?!」

 「てかこの階層に蜘蛛の魔物なんていたのかよ!」

 「それにあの巣、今まで見たのより大きいし、形も違う・・・まさかユニーク!?」


 まあ、こうなりますよね。・・・どうするよ?


 糸を束ねていたから太くなって、あっちからは見えてないと思うけど見つかるのも時間の問題だよね。


 この【糸】のスキルって聞くからに魔物のスキルっぽいし、俺が出したと言っても信じてもらえないだろうな。そもそもここにいる時点であやしさマックスだし。切りかかられかねん。


 「また【こうもりか】でにげれば?」


 うん。それしかないな。あったとしても今は考えられん。すぐ実行。【蝙蝠化】。


 【逸在】は使っても意味がないと思う。存在を逸らさせるスキルだから見つけようと躍起になって探せば見つからないことも無いから。


 さらばだ。


 ゴウ!!!


 糸の隙間から冒険者とは反対側の通路に出た瞬間、ものすごい爆風が起き、蝙蝠の体を吹き飛ばす。


 なんぞ!?


 驚いて振り返ってみたら【糸】で作った隠れ家が燃えていた。


 いやおかしいでしょ?魔物を倒さないといけないのは分かるよ。だけどね、蜘蛛の巣の中に囚われた冒険者とかいるかもしんないじゃん。中を確認することなく火魔法ぶっ放すか普通。


 怖いわ!威力的に中に人いたら死んでまうわ!


 「え?ええ?あれ絶対死ぬよね」


 パルもそう思うよね。


 「全く最近の若いもんは」

 「まだ若いやつに言われたくないと思うわよ」


 そりゃパルさんに比べたらそこらの有象無象なんて・・・むしろ年寄りですら若造・・・。


 「凪」


 さてさっさと逃げるぞー!

 蜂共はくれてやる!


 「・・・」


 パルの顔今きっと怖いから見たらあかん。目を逸らし続けるために逃げに集中しましょう。


 暫く飛んで行ってると二十七層見えてきた。そのまま滑り込んで突入―。


 あの隠れ家、楽にスキルゲットできて実験したりできていいことずくめだったのにグスン。


 こうなったら二十七層でも巣作りしてやらぁ。入って直ぐではなく二十八層階段前に。


 【蝙蝠化】を解いてスキルの技量上げもかねて、【血液支配】で作った刀身に【鱗片】で鱗を五枚ほど生やし【弱毒鱗】で毒属性を付与したのこぎりモドキで出てくる魔物をなぎ倒しながら進む。


 ポイズンアント、ベノムアント、ポイズンアントマンが主な魔物だった。


 ポイズンアントは十一層で見たけど他は初めて。Eランクばかりできつい事はきついけど勝てなくはない。五体同時にかかってきても大丈夫だったからね。半血鬼の地力凄すぎ。これでDランクに勝てなかったのが不思議なくらい。


 多分今なら勝つる。・・・と思ってるだけで今は勝てない。絶対超えてやるからな!覚悟しとけよな!


 そんな負け犬みたいな事してたら、なんか穴を発見した。


 ダンジョンの仕様かと思ったが多分違う。穴の周りにヒビが入ってる。物理法則にのっとって作った証拠だ。


娯楽至上主義のダンジョンマスター(ストーカー)ならあたかも蟻野郎どもが掘ったという感じにしているかもしれないが、そんな面倒な事・・・あ、するな。


パルから聞いた感じそういうことしそうなんだよな。自分が面倒でも面白くできるんならやる。ソースは一層のゴブリン部屋。


それに十一層の蟻共は【穴掘】って言うスキル持っていたけど穴なんか掘っていなかったし。その劣化スキルの【掘土】で試しに穴を掘ろうとしたけど全然掘れなかった。


ダンジョンの床は掘れないという結論になるため必然的にあいつしかなくなるわけだよ。


そう考えたら逆に蟻共が掘ったって言われる方が違和感出てくるんだけど。


「取り敢えずこの穴どうしよう。【毒霧】でも放っとく?」

「逃げる事すらできないってエグいわね」


いや、広すぎて届かないかもしんないじゃん。


『やったー!マスター来ましたよ!!』


何この子テンション高い。


「来たって何がだよ」

『聞いて驚いてください!鑑定でスキルも分かるようになりました!』


え?早すぎない?


「それはおかしいわ!一緒に鑑定していた上に私の方が技量が高かったのに・・・抜かれるなんておかしいわよ!」


パルの言う通り。出て来た魔物は全てパルは【鑑定】している。そして会った時にはもう種族まで見えるようになっていた。それを追い抜いてスキルを見れるようになった?冗談にもほどがあるだろ。


『マスターも信じてませんね。良いでしょう。次に現れた魔物を鑑定して証明して見せます』


って言ってる傍からベノムアント発見。しかも穴の中から出て来たよ。


「そこまで言うんなら任せる」

『了解しました!

 アシュタロスアント

 ランク E

 種族 魔物、蟻

 スキル

  ノーマル

【連携】【毒牙】【外殻】【毒強化】

   固有

    【記憶】【穴掘】【アシュタロス】

   耐性

    【毒耐性】

  称号 迷宮(アシュタロス)の加護』


 マジだスゲー!


 『どうですか?褒めちぎってくれてもいいんですよ?』

 「すごいな」


ッボン!


 これは褒めないわけにはいかないよな。なんか頭の中で何かが爆発するような音が聞こえたんだけど気のせいか。


 『ほんとに褒めてくれるとは思わなかったし・・・なんかいきなりすぎて・・・ちょっと・・・ああもう!』


 【鑑定】(かんていさん)がいいことやった後にバグったわ。


 「おかしいわよ。おかしすぎるわ!なんでそんな早くできるようになるのよ!」

 『私をパルちゃんの【鑑定】と一緒にしないでくださいー。私は日々学習するんですぅ―』

 「むぅ・・・」


 パルの【鑑定】より【鑑定】(かんていさん)の方が技量上がるの早いのは恐らく【鑑定】(かんていさん)は常時発動してるからだろう。


 ただの石ころでも鑑定してそれを俺に伝えることなく自分の中だけで処理。鑑定すればするほど技量が上がっていきそして追い越したという事だろう。

 普通の奴がやれば頭がパンクするだろうな。いつぞやの俺の【空間把握】で失敗した時みたいに。


 よし、この話おしまい。魔物が真ん前にいるのにこの気軽さはないわ。【並列思考】のおかげで会話を聞きながら避ける事ができるが。


それより、何気にスルーしてたけどおかしいスキルが混ざってるんだけど。


 「【アシュタロス】って何さ?ダンジョン名じゃないのかよ」

 『二重鑑定で見ますね』


 ほんとに【鑑定】(かんていさん)ですか?めっちゃ有能になってるんですけど。


 『【アシュタロス】:ダンジョン【アシュタロス】内における幾つかの自由権限を獲得出来る。【迷宮破壊】』


 なんかヤバげのやつだ!見たいもん見れたし、即キルで。


 【悪魔吸血】も忘れません。


〈【悪魔吸血】並びに【超幸運】の使用を確認〉

〈スキルの獲得・・・成功しました〉

〈スキル【アシュタロス】の劣化スキルは存在しませんでした〉


 !?【アシュタロス】?何でピンポイントで来んの?!


〈スキルの作成に失敗しました〉

〈ダンジョンマスター権限を感知。ダンジョンマスター権限によりスキル【アシュタロス】の獲得に成功しました〉

〈条件を満たしました。称号【迷宮(アシュタロス)の加護】を獲得しました〉


 チョットマテェェェェ!!!!!





 ~???目線~


 面白い。

 実に面白い。あの生物はホントに人間か?いや、半吸血鬼だったな。


 一層の偽装を見破り、十層のピンチの所で進化。その後二十層では十層でぎりぎり勝ったEランクを五体同時に撃破。その他、行動も見ていて飽きない。


これを見越して二十層のトカゲ共にスキルをくれてやって正解だったわい。


 実に面白く、興味深い。


 魔物のスキルの劣化コピーをその魔物以上に使いこなし、戦力をつけてくる。挙句の果てに我の加護をもコピーしようとする。


 こいつが我のダンジョンを攻略するとしたらそれは自分の首を絞めることになるだろうが、くれてやろう。我が加護を。


 ここまで楽しませてくれたお礼だ。存分に使え。我の思いもしないようなことをするのを期待しよう。


 こやつならこの先の三十層でも我を楽しませてくれるだろう。いや、それどころか三十一~四十層すら攻略してくれおるやもしれぬ。楽しみで仕方ないわい。


ゴロが悪かったので

【ダンジョン破壊】

 →【迷宮破壊】に変更

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