50 バカいた―!
ダンジョンと言えばやっぱり宝箱、魔物、そして罠!
二十一層で初めて出て来たよ。しかも入って直ぐのところ。もうね、悪意しか感じられないよね。
だんだんダンジョンに慣れてきた人が油断して死んでいくさまが目に浮かぶよ。てか、死体転がっているよ。何なら白骨化までしてるヤツまであるよ。南無。
罠は、壁から矢が噴き出すタイプのやつ。一見したら出し終わったはずの矢は見当たらないし、その穴すらうまく偽装されているため見つけるのが困難だろうから何で死体があるんだろう?魔物かな?ぐらいしか思わないだろうね。
そこでここからの階層を生き残れるかが分かれるんじゃないかな。
俺?もちろん分かったよ。【空間把握】のおかげで。
【空間把握】が強い事が分かるね。見えない敵でも感知できるし、大まかだし範囲狭いけど道も見えるし、罠だって気づける。ほんと、どこぞの誰かさんとは違うね。
『マスター、今すぐ身体をください。そして殴らせてください』
【鑑定】がなんか言ってる。いや、身体とか無理に決まってんじゃん。擬人化とか何考えてんだろ。
「ほんとにそう思う?」
今度はパルが言ってくる。
普通なら無視するだろう言葉。だが俺は、その事に対して無理だろと答えれなかった。
なぜならこいつは喋れない状態から、喋れるように進化したのだ。形を持たない状態から形状のある状態に進化しないと果たしてほんとに言い切れるだろうか?
「やめろ。怖い」
そんなことが起こらないとも言い切れないので俺は、そうやって誤魔化しておく。
因みに矢が見当たらないのはこいつのせいだった。
『結果:矢取ネズミ
ランク F
種族 魔物、鼠』
簡単に言えばでっかいネズミ。と言っても大きさは人間の頭一つ分くらい。今まで相手してきた奴らよりは小さい。因みにこれはパルの【鑑定】のものだ。
すばしっこくて攻撃が当たらなかったが、【逸在】で見えなく・・・目を逸らさせて無警戒のうちに蹴り上げて一撃で倒した。
その際に【鱗片】で靴の先端に尖った鱗を出していたため、蹴り上げるのと同時にはらわたがはじけ、血が舞い上がった。それを【血液支配】操作でなめたところ、毒が入ってなかったのかそれほど不味くはなかった。美味くもなかったが。
そして獲得したスキルがこちら。
【矢袋】異次元につながる穴を作り出し、そこに矢を収納できる。
【異次元収納】の劣化スキルみたいな。でも詠唱はいらないし、魔力も使わないので矢を収納するのならこれの方が向いている。
で、ここどうやって進もう?となるんだけど、矢の出てくる先に【矢袋】で穴を作ればいいじゃんとなった。
すんなりと通れたのでこれはこれで面白くなくて残念。
この階層、出てくる魔物は矢の邪魔にならないようにするためか小型ばかりだった。やけに素早いし【逸在】無かったらどうやって倒せばよかったんだよ。
二十二層。入って直ぐにログが流れた。
〈スペル【精霊魔法(毒)】の技量が上昇しました。【毒槍】を習得しました〉
新しい魔法キター!
「【毒槍】って【毒弾】の形状が変わるだけ?」
「刺属性も合わさるわよ」
「刺属性!?」
そんなん聞いてないよ?聞いてたの火、水、土、風、雷、毒、聖、闇、治癒、死霊、精神、空間だけだよ?
「攻撃の種類って意味だから。その属性に当てはめるのは止めなさい」
「あ、そう」
少し残念な気がしたけど取り敢えずすぐに見つけた蜘蛛型の魔物に使ってみたら凄い事になった。
Eランクだったが外骨格を簡単に貫き、腹に刺さる。魔物が死んで【毒槍】が消えた頃に刺さったところを見てみると中の臓器がトロトロに溶けているのが見えた。あ、これダメなやつだ、と思ったのは仕方のない事だと言えよう。
だって、血も吸えないもん。
「いや、そこなの・・・」
足とかにやって使えなくしてからとどめっていうのが一番いい使い方かな。
二十三層。床には数々の穴と赤いしみ、骸骨。天井には円錐型の針が埋まっている。これな~んだ?
罠ですね。完璧罠ですね。もうね、二十一層のあの手の込みようは何だったんだと言いたいくらいだね。
偽装しろよ。しても俺は分かるけど気分的にして欲しいんだよ!
ないわー。気分下がった。
「でもここどうやって渡るかなんだよね」
明らかに罠だと分かっていてもそもそも対策ができなかったら意味がない。案外そう思って見えっみえの罠にしたのかもね。
そうだとしたらこのダンジョン作ったヤツ性格悪くね?前にパルが娯楽を求めてる的なこと言ってたけどその一環?冒険者がどんな反応をするかとか見て楽しんでるの?
ストーカーかよ。いや、ついてきてるわけじゃないから覗き魔かどっちにしろキッショいな。
まそんなことは置いといて、ここを通る方法ね。そんなん【鑑定】に頼めばすぐ解決できるでしょ。
『いや、私に鑑定以外の能力を期待しないでくださいよマスター』
「お前こんな事も出来ないのかよ。その程度でエクストラスキルとか笑えるんですけど」
「凪、それ挑発のつもり?さすがにそんなのに引っかかるバカはいないでしょ」
『何だとマスター!いくらマスターと言えど言っていい事と悪い事がありますよ!私だってそれっくらいホントは出来ますもん!』
「引っかかるバカいたー!」
で、【鑑定】が出した策はさっきの要領で【異空間収納】で回収する事、【蝙蝠化】で高速移動して避ける、【血液支配】で穴を埋めるという三つ。
【異空間収納】は多重展開が難いから却下。【血液支配】?その血何処から集めんねん。
ということで【蝙蝠化】での高速移動で決定。ってそれ当たらないように避けながら走るって事だよね。普通すぎる。
小さくなって命中率が下がるし、早く移動ができるようになるけどさ。辛っ。
やらなきゃ進めないからやるけどさ。
ソラとパルを収納して【蝙蝠化】。
収納しない約束みたいなのしてたような気がするけど有無を言わさずに収納。寸前にパルが冷たい目で見て来たような気がするけどこればっかりは仕方ないじゃん。
『あとから話があります』
心の中でパルのそんな声が聞こえた。
敬語で口調が変わってるのが凄い怖いんですけど。無視したらダメな奴の様な気がするのでびくびくしながら『了解』とつぶやいておく。
口調など直したいところがあったので15、夕12を近々改新するかもしれません。作者のミスのせいで申し訳ありませんがまた見直してくださると嬉しいです。




