48 主に蝙蝠たちが
どうやって攻めようかな?俺の【空間把握】の技量じゃ、中心部から動いたら反対側にいる奴までは分からなくなるんだよな。
そのおかげでどちらも動こうとしない奇妙な図になっている。
今は動いてないからアサシントカゲの位置はすべて把握できている。
俺を囲むように散開していて、左右と正面に一匹ずつ、後ろに二匹の合計五匹。一匹を倒しに行ったらその反対側の奴が俺に攻撃してくるという事だろう。
範囲の大きさは分からないから舌が来たら分かるだろうが、出している瞬間を見ないと回避に遅れてしまうかもしれない。
何もしなかったら、アサシントカゲも何もしない。舌で攻撃しようとすれば俺が掴んでまたさっきみたいに振り回すと考えてるんだろうが。
一人でEランクと戦えるなんて十層以来だから結構張り切ってるんだけどね。スキルも欲しいし。
このまま待っていても進展しないしさっさと殺りますか。
「――【毒弾】」
毒の球が出来上がって前方のアサシントカゲに飛んで行く。が、やはりアサシントカゲはそれを壁を登る事で回避する。
俺の狙いは当てて倒す事じゃないけどね。
この【毒弾】で俺が遠距離攻撃も出来るってことを教えることが目的なんだな。
するとどうなるか?そんなもの逃げるのをやめて連携して攻撃してくるに決まってる。
五つの方向から同時に舌が伸びてくる。
「【連携】かね?」
「【念話】じゃない?」
『どっちにしても面倒くさい事に変わりないですけどね』
「【念話】覚えたらどれくらい遠くの人と話できるかな?距離によっては獲得することを視野に入れるべきだな。ま、今のところ協力なんてしてないから意味ないだろうけど。【蝙蝠化】」
体が蝙蝠になって、小さく小回りが利くようになったので全ての舌を避ける事ができる。それと同時に、【鱗片】で羽に尖った鱗を出し避ける合間に切り傷を入れていく。
入った傷は浅く、あまりダメージを与えたように感じない。しかし、血を出す事には成功する。
「【蝙蝠化】解除。【血液支配】操作」
舌から流れた赤い雫が生きているように動き、口の中に入る。
〈【悪魔吸血】並びに【超幸運】の多重使用を確認〉
〈スキルの獲得・・・成功しました〉
〈スキル【迷彩】の劣化スキル【逸在】、スキル【毒舌】の劣化スキル【弱毒舌】を獲得しました〉
〈スキル【弱毒舌】がスキル【弱毒舌】に統合されました。スキル【弱毒舌】がスキル【毒舌】に進化しました〉
おぉぅ。なんか色々起こったぞ。【毒舌】は使えないとして、【逸在】は名前の通りだとすると目を逸らさせるって意味かな?スキルカード見れないからあくまで予測しかできないけど。
でもこれってあれだよね。不可視のスキルだよね。チートスキルじゃん。Eランクが持ってていいスキルじゃないだろ。
ありがたく使わしてもらうけどね。今じゃないけど。
「【眷属召喚】」
指定するのは【麻痺毒吐息】。更に魔力を多く注ぐ。え?【眷属召喚】クソだったんじゃないかって?その通り。だけど俺はついに【指令】というスキルを獲得したのである。この【指令】というスキルは意思のない、又は弱い生物、そして自分の魔力の通った魔物に対する命令権を持つスキルなのだ。
一回しか聞かないし、具体的かつ端的に言わないと違う行動したりするというデメリットを持っているが強いスキルだと思うんだよ俺は。
召喚された魔物はやはり蝙蝠。吸血鬼と蝙蝠って相性がいいのかもしれない。
じゃ、【鑑定】お願いします。
『ジャイアントパルスバット、ランクはF。十分足止めには使えると思うよ』
らしい。Fランクか、なかなか強いんじゃない?召喚できるものとしては。
「じゃ、『トカゲにスキルで攻撃しちゃって』」
「キシィィィ――」
飛んで行く。弱いけど何とかなるかね。
「キシィ・・・ィィ・・・」
無理だったっぽいね。舌で打たれて死んじゃったよ。Gランクだすときの十倍くらい魔力使ったつもりなんだけどな。
「【鑑定】全然足止めで来てないじゃん」
『まさかこんなに弱いとは思ってなくて』
それって俺に喧嘩売ってるのかな?ま、いいや。質でダメなら量で攻めるってか。
「【眷属召喚】」
さっきのより一回り小さな蝙蝠が出てくる。何十匹も。
「さて、何匹出したか知んないけどいいや。『トカゲの動きを止めろ』」
四,五匹のグループに分かれてそれぞれの敵の元に向かって行く。
ジャイアントパルスバットのときがあれだったからあまり期待はしていない。しいて言うなら死に方に期待している。
そんなことを考えている間に一つの部隊が全滅した。前方に構えていた奴だ。だが最後の一匹が死に際に【麻痺毒吐息】をぶちまけてくれたので動いていないが。
「【血液支配】固化」
倒された蝙蝠の死骸から出てくる血が鋭利な刃物になって身動きのできないアサシントカゲに突き刺さる。
うまくいったな。やはり弱すぎるとどんな攻撃でも内臓がつぶれて死ぬよね。当然血も出るよね。
「この分だと簡単に五匹全滅できるね。良かったわ」
「凪、これは流石にむごいと思う。主に蝙蝠たちが」
~エイリャ・アルファス目線~
ダータイトとあってから使っていた杖に持ち替える。
私の役目は後方支援・・・ではなく本命の攻撃。
作戦はダータイトがひきつけて私が攻撃魔法で倒すというもの。ポイズンスケイルリザードの鱗は堅く、物理攻撃はほぼ効かない。これはユウナギが教えてくれたこと。
それじゃ、どうやって倒すのか。魔法での攻撃しかない。ダータイトはあまり魔法がうまくない。だから私がするのだけど、ただでさえ少ない魔力が先程の戦いでさらに少なくなってしまった。使えるのはせいぜい後一発。
そしてダータイトが抑えているという事はすぐそこにダータイトがいるという事。
つまり私は一発に自分のすべてを込めて魔法を放ち、ダータイトに当たらないように精密にする必要がある。
果たして一発で出来るのか?一撃で勝てるのか?疑問は尽きない。だが、大事なのは疑問を持つことじゃない。仲間が信じてくれていることこそ大事。私はそれにこたえるだけ。
「―――」
詠唱を【詠唱短縮】を使わないで唱えていく。使わないのはデメリットが大きいが集中できるように、そして細部まで正確にやれるようにすべてを詠唱に乗せる。
〈技量が一定に達しました。スキル【集中】を獲得しました〉
〈技量が一定に達しました。スキル【精密詠唱】を獲得しました〉
終わる。
「【暴風砲】」
拳大の大きさの風の塊が飛んで行く。【暴風砲】は普通もっと大きいが魔術式を少しいじって大きさを変えた。威力は落ちるが、その分魔力を込めたので通常と同じくらいの威力になったはずだ。
「いっけぇ――!」
その塊は一直線にポイズンスケイルリザードに向かう。ダータイトに触れることなく、ポイズンスケイルリザードだけを穿つ。




