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夕9 ツグ、見るぞ

「あれ?そう言えば私の小説って文字数少なくない?」

と、思ったので今回は若干文字数多めです。あくまで若干ですのであまり期待はしないでください。

「そういえばスキルってどうなったの?」


・・・忘れてた。


そういえばそうだった。ツグを解放したのはその為だった。色々、というよりツグの衣服関係ですっかり忘れてた。


「ツグ、見るぞ」


一応断りを言ってから【竜種鑑定】を発動させようと思ってそう言った。


「そ、そんな主人殿(あるじどの)・・・いきなり『見る』だなんて。そうですね、主殿が見たいと言うなら。さあ!思う存分私の生まれたままの姿を見てください!」

「ちっげーよ!【竜種鑑定】!ステータスを!見るんだよ!」

「いや主人殿(あるじどの)、それくらい分かってますよ。あえてボケてみただけですよ」

「そういうのいらないからな!?」

「ですが主人殿(あるじどの)が見たいなら私は構いませんと言う意味もありますよ」

「だからいいって・・・!」

「ていうか見せたいんですけど?」

「それただの痴女じゃねーか!」

「私は主人殿(あるじどの)に見てもらいたいのです。そこのセフィ(痴女)と一緒にしないでください」


とツグが言うのと同時にセフィははぁはぁとわざとらしく呼吸を荒げ始めた。


「だって仕方ないじゃない。媚薬が強すぎるのがいけないのよ。あ、脱いでいい?」

「良いわけねぇだろうが!てかその設定今創っただろ!」

主人殿(あるじどの)の前で醜い裸体を晒すな」


とか言ってる間にまた話ずれてるし。


本題に入ったのはさらに騒いだ後だった。





「セフィ、ツグのスキルはオリジナル【月光の両翼】エクストラ【ブレス】【竜麟】ノーマル【人化】【スキル共有】【身体装甲】【守護】【鑑定遮断】スペル【聖魔法】」


【月光の両翼】満月時、魔力を消費して翼に月光を纏わせる事ができる。月光を纏った翼はいかなる属性攻撃も無効化する。


【ブレス】自分の魔力を放出する。特殊効果あり。特殊効果は使用者によって異なる。


【竜麟】鱗を強化。魔法に対する防御力が上昇(微)。


特質すべき能力はこの三つ。


他にも強いものはあるがやはりオリジナルやエクストラと比べると目劣りしてしまう。


中でも【月光の両翼】はオリジナルスキルだけあって異常。満月時と言う条件はあるがそれが満たされれば防御力が格段に上がる。無効化という事はダメージを受けないというだけではなく、相手の魔法による悪影響も受けないという事だろう。うわ、無敵じゃん。


と思ったがセフィはそう思わなかったらしい。


「シノムラ君、このスキルどう思った?」


このスキルというのはやはり【月光の両翼】の事だろう。


「どうと言われましても・・・強そうとか?」


そのスキルの持ち主であるツグは嬉しそうに笑みを浮かべた。


セフィの方はというと、やはりそうは思っているわけではないらしい。


「一見強いように見える。条件が必要とはいえ無効化するのだから。でも役に立つ機会はあまりないと思う」

「満月じゃないから?」


最初に機械がないといわれて思うのはそれだ。この世界の月の公転は早く、2か月に一回くらいのペースだがやはりチャンスは少ない。だが、セフィはそれだけだ理由じゃないと続けて言う。


パッと見ただけで三つ。


一つは属性攻撃しか無効化できない事。属性攻撃というのは全部で火、水、土、風、聖、闇、治癒、精神、死霊、毒、空間。勿論、魔法だけではなくスキルにもある。


だが、この属性に入らないものも存在する。スキルなら【剣術】や【身体強化】、スペルなら無属性魔法といった感じだ。【剣術】や【身体強化】は直接攻撃するものではないが、それは俺が知っている中で該当するものがそれくらいだったというだけでちゃんと攻撃するものもあるらしい。


他にも普通に剣で切るといった物理攻撃も無効できない。


それに魔法やスキルの属性攻撃が効かないだけで自然的な攻撃はくらう。


例えば熱量を操作して竜巻を発生させそれで攻撃したり、膨大な魔力が必要になるが土魔法で穴を掘り星の中のマグマが噴出させる。。その竜巻やマグマは急激な温度上昇や穴を掘ったことによる副次的なものなので魔法でもスキルでもないため強力な攻撃になる。


二つ目。このスキル以外にも魔力が必要な防御スキルが存在する。それを発動させるには普通の攻撃魔法よりも多くの魔力を消費する。それが無効にするスキルならなおさら魔力を使う。魔力切れになるのも時間の問題となるだろう。

魔力が無くなれば動く事も出来なくなるためスキルの使用回数も限られてしまう。


三つ目。直接的に綴られているわけではないがこのスキルの効果を受けるのは翼だけ。月光を纏わせられるのが翼と記されているのだからだ。ある程度の技量を持つものなら胴体だけに攻撃を加えられる。


「ま、これくらいかな」


セフィはこれでこの話は終わりとばかりにそう言う。が、そんなの納得できない。


「致命的すぎる」


こんな弱点だらけのスキルが実践で使えるはずがない。おまけに満月じゃないと効果を発揮できないという制限付き。


この話をこれで終わりとしないのはこのスキルの運用法を考えるためだ。


「どうすればいいんだ」


そう、弱音を漏らすがその答えはもう出ている。てかそれしかない。


「どうもできないに決まってんじゃん。ま、オリジナルなんかに頼らないで強くなる方法はいくらでもあるよ」


そう。どうする事も出来ない。スキルが満月時指定ならその時にしか使えない。使えたとしても弱点が多い。そんなのに頼って強くなろうとするより、セフィの言う通りそんなスキル使うのを諦め、別のスキルだったり使った方が強くなる。


「それもそうだな。エクストラルでも十分強いし」


それは嘘ではない。オリジナルに比べれば劣っているように見えるが、エクストラルスキルだって獲得するのは困難なのだ。


そのスキルが二つもあるのだ。弱いわけがない。


「そうそうその意気だよ。明日からの稽古をどんなのにするかは後で考えるとして、そろそろ次の目的に行きますか」


そういえば最初に『まず』とか言ってたな。他に重要なことなんてあったかな?


「もしかして忘れてる?今日最初に約束したじゃん。シノムラ君の目的教えてくれるって」


面倒だから忘れててほしかったのに。てか最初って事はもしかしてこの人、他の奴らと喧嘩したの忘れてるんじゃ・・・。


聞こうと思ったが止めた。セフィだからその可能性は十分にある。それにもう俺の話を聞く体勢に入っているので俺の質問は受け付けないだろう。こうなったらてこでも動こうとしないので、結果話すしかなくなる。


出会って一日もたっていないのにセフィの性格が結構わかってきたなとか思いながら大まかに話していく。


その後、適当に話していたのでもっとわかりやすくとか言われるのは必然だった。

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