2はぁはぁ
ドシャッという音と鈍い痛みと共に意識が目覚めた。
どうやら机や椅子などの支えがなくなって、転んだらしい。
床には先ほど見た魔法陣があった。光ってはいないがそれは俺らを転移させるという仕事が終わったからだろう。
だが最後に俺が見た魔法陣はそこになかった。やはり気のせいだったのだろうか?
周りを見るとそこにはただっ広い空間が広がっていた。白を基調とした部屋で壁などには様々な装飾がされている。一見見ただけだが埃などはなくちゃんと清潔に保たれていることがわかる。そしてこの部屋を囲むように沢山の鎧が並べられている。
少しも動いてないけどアレまさか中身は入ってるとかないよな?
クラスに連中はというと混乱しているものやら現実逃避に走っているものがいたが、やはりほとんどの者たちは前の方(もともと黒板があった場所)を見ていた。
そこにはやたらと豪華な服を着て、床につくような赤く長いマントを羽織った爺さんがいた。
「よくぞ来てくれた勇者たち。儂はこの国、ウエスタリア王国の王エル・ウエストである。」
ほとんどの者はさほど驚いた様子はない。
そりゃあそんな格好だったらそんなことまるわかりだろうよ。
そしていきなり現れた謎の魔法陣、目覚めたら日本の何処にもないような豪華な空間、王と名乗る人物の神妙な顔、『勇者たち』という言葉。
これらを総合に考えれば次の展開は手を取るようにわかる。
クラスの男達もこの展開が分かったのだろう。皆若干口の端が笑みの形になっている。
かくいう俺も楽しみだったりする。ワクワク。
「人族は今魔王に手によって滅ぼされようとしておる。今儂等は勇者召喚をつかい、お主らをここに呼んだ。魔王を倒すのに協力してくれ。」
うっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
そんな幻聴が聞こえてしまうほど男子たちは興奮していた。それとは逆に女子のほとんどの人たちは何を言っているのかわからないって顔をしているが・・・・・・。
俺ももちろん興奮しています。はぁはぁ。