24はめられた
「そういえばさ、なんであの蛇の名前分かったんだ?」
「どういう意味よ」
「宝箱の中で生まれたんなら魔物見るのも初めてなんじゃないかと思って」
「何で私が宝箱の中で生まれたって決めつけるのよ」
「え?違うの?じゃあ、自ら入って宝箱を開けた冒険者を驚かせようとでもしてたの?それでいざ入ったもの、冒険者が来ない。しびれをきらして出ようとするが中からじゃ開けられなかったとか?うわ、お前だったらやりそうで笑える」
「そんな事してない!っていうか私が宝箱で生まれたと勘違いしていたあんたの方が笑えるんですけど。あの中に入っていたのは上位治癒薬でしょ。そんな中で生まれたら治癒の精霊になってるでしょ」
あー。確かにそうかも。
「ひゃあ、にゃんでたかりゃばこにふいってたの?」
ソラが言っていることはもっともだ。
先程倒したばかりの弱毒蛇を生で食っているから聞き取りにくいが。
多分『じゃあ、何で宝箱に入っていたの?』と言っているのだろう。
食中毒とか蛇の毒とか大丈夫だろうか。毒ってついてるから多分毒の精霊が治せるんだろうけど。
「私が生まれたのはこのダンジョンの最上階100層よ」
「お前よく死んでないな」
「精霊の力なめないでほしいんだけど。99層に逃げるのに10日も必要なかったわ」
逃げたんですね。
そりゃ100層のボスとかいたら逃げるわな。絶対Sランクだし。
で、毒の精霊は隠れながら技量を上げた。
何の技量かって?【鑑定】だと。
持っていたのはそれと【精霊魔法(毒)】だけだったらしい。
それであの時弱毒蛇が分かったということだろう。
その後ダンジョン内をうろついていたら、100層いたボスことダンジョンマスターに見つかり、宝箱の中に入れられたそうだ。
「お前って間抜けなのな」
「うるさいな」
「でもなんで宝箱に入れられたんだ?」
「ダンジョンマスターにとっては娯楽がすべてなのよ。このダンジョンを作ったのも娯楽のため。宝箱に入れたのは報酬みたいなものなんじゃない?上位治癒薬だけじゃつまらないとか」
そういうものですかね。
「じゃ飯は?」
「封印に近いものだったから必要なかったわ」
「たべおわったー」
ソラさん最近マイペースさが増しましたよね。
「・・・行こうか」
「そうね」
「なぎ、つぎのはりょうりしてね」
「じゃあ、私のもお願いするわ」
火ねぇのにどうやって料理しろと?
結局次に遭った弱毒蛇は料理せず、【異次元収納】から一層でストックしたゴブリン焼きを食べさせた。
二人とも美味しそうに食べていたが、俺からしたら不味いというのが正直な感想だった。
精霊と吸血鬼では味覚が違うのかね?
この二人が異常なのかもしれないが。
あれから結構進み、三層への階段まで来ていた。
一層の時より早く攻略できた気がする。まぁ一層の時はいろいろ寄り道したし仕方ないよね。
因みにここまでで倒した魔物はゴブリン5匹、弱毒蛇14匹だ。
【悪魔吸血】ではゴブリンからは何も獲得できず、弱毒蛇からは【微毒牙】×5獲得。
そのたびに毒の精霊に解毒してもらわないといけなかったが。
てかもしかして弱毒蛇って【弱毒牙】しか持ってないんじゃない?獲得できたのが【微毒牙】だけなんて。
そして毒の精霊はまた息を荒くしている。三層への階段を見つけた時の絶望感溢れる顔は面白かった。
とはいえ。何度も解毒してもらっていたし苦労を掛けているので少しねぎらってやろうかな。
「左肩なら空いてるぞ」
ソラが乗っていない方の肩を見せる。
「え?・・・じゃ、じゃあ失礼するわ」
毒の精霊は最初困惑していたが、しばらくして肩に乗ってくる。
今度は階段を焦らずに登っていく。
「・・・あ、ありがと・・・」
「ん?今なんて?」
「なんでもないわよ!それより早く三層に行きましょ」
「まさか毒の精霊から感謝されるなんて思ってなかったから嬉しいな」
「って聞こえてんじゃない!」
「え?かまかけただけだったんだけど?」
「はめられた」
冗談。本当は聞こえていた。こんな近くで聞こえないわけないし。
ただこうでもしないと、ニヤけそうだったから。




